T.MIC事業企画

 1.MICの経緯

 一昨年、IDOより帰任後2年間の南九州地区オート店地区担当員を経て、情報通信部に異動した。通信業界から離れて僅か2年間の間に、移動電話の急伸に代表されるように、業界はまさに激変していた。そしてこの2年間も、パソコンやインターネットの瞬く間の普及や、衛星デジタル放送の開始などマルチメディアに向かう様々な動きが加速した。1年が7年分にも相当するドッグ・イヤーそのものであった。
 反面、急激なデジタル技術の進歩は市場との乖離を強めた。多くのユーザーが高機能・高性能化するハード・ソフトや、未成熟のまま発売・開始される新商品・新サービスに、ついていけなかったり、ニーズを感じなかったりした。時代の潮流と本質を見抜き、市場の実態と技術面との乖離を縮める努力がマルチメディアを征する第一歩に他ならない。

 「MIC」は当初、異業種交流会の「マルチメディア・イノベーターズ・サークル」であった。マルチメディアをライフワークと定めた私が、新たなチャレンジに踏み出す第一ステップとしてトヨタに不足していた生の業界・市場情報を得るために発足させた。IDO時代に私の志に共感してくれ、一緒に仕事をやった様々な分野の社外の仲間たちとの交流が復活した。
 毎月、メンバーのフランクな情報交換と、アップデートなテーマについての勉強会を開催した。1年半にわたる継続の成果として、「MIC」の基本的考え方や理念をまとめることができたが、新たな人脈やネットワーク活動の必要性も痛感した。

 第二ステップとして展開したのが、インターネットのホームページ開設と、パソコン通信NIFTY−SERVEのフォーラム活動参画である。私の考え方、感じたこと、そして私自身の今後の進路についても、オープンに情報を発信、ネットワークを通じた新たな仲間たち(個人・企業・組織)との出会いと交流を目指した。
 同時に、起業の可能性について検討を始め、今年初からは、ネットワークや大手人材バンクを通じた転職活動にも着手した。もちろん、トヨタの新たな組織・人事制度改革「CHALLENGEプログラム」と、これに基づく「チャレンジキャリア支援制度」の発足が背景にある。

 これまでの状況は、転職については、中堅・ベンチャー企業を志望したものの、40代後半にさしかかる年齢、求人の多い外資系企業に不可欠な英語が不得手、そしてトヨタという大企業での勤務経験がむしろマイナスとなるなど、実を結んでいない。
 また、起業についてもマルチメディア分野での可能性を幅広く追求し、大まかな方向性についてはある程度確信を得たものの、具体的事業計画の立案には至っていない。勤務の合間では、情報収集と整理が精一杯で、絶対的な時間不足を痛感した。社内の起業家募集制度の応募についても同様である。

 そこで、一旦退職し、フリーな立場で新たにチャレンジすべく、「MIC」の第三ステップ「マルチメディア・イノベーターズ・カンパニー」の活動に着手する。マルチメディア関連新ビジネスの創造をテーマに「MIC事業計画書」を作成、これを基に再度転職・起業を目指す。

 マルチメディアは一言でいえば「情報端末としてのパソコン」「放送端末としてのテレビ」そして「通信端末としての電話」がハイブリッドしたものである。現在これに最も近い商品は「衛星デジタル放送」と「インターネット」がハイブリッドする「衛星インターネット」。
 当面これに焦点を当てた事業計画を作成、事業パートナーを幅広く求めていく。


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