(4).インターネットの現状と課題

 日経BP社の推計によれば、我が国のインターネットユーザーは、現在700万人以上にのぼり、そのうちWWWユーザーは350万人と、わずか2年足らずで急増した。今後毎年5割程度増加すると推計され、2000年には2000万人を突破、パソコン以外の携帯情報端末やインターネットテレビなどの普及状況によっては更に1000万人が上乗せされるとの見方もされている。(しかし、本年4月以降個人向けパソコン販売は冷え込み状態が続いており、この見方はあまりに楽観的すぎる。高機能化・高価格化戦略がユーザーニーズと乖離した結果でもあるが、前述のような我が国の基本的問題点も大きく影響している)
 ともあれ、インターネット市場は着実に拡大する。接続サービスを提供するプロバイダーの数も2000社を超えた。様々な関連ビジネスも続々登場している。

 ウィンドウズ95でパソコン0Sのデファクトスタンダードを確立したマイクロソフトも、出遅れていたインターネット市場に本格参入、インターネット・エクスプローラを無料配布するなど先行するネットスケープを激しく追撃。サンマイクロシステムズの新プログラミング言語JAVAや、インテルのマルチメディア対応CPUなどハード・ソフト技術の進展により、写真、動画、アニメ、音声、音楽などありとあらゆる情報がインターネットを飛び交うようになった。
 最新ソフトをインターネット経由で入手する機会も増えている。最新ニュースをプッシュ型アプリケーションでユーザーの手元に届ければインターネットは新聞の代わりになる。動画や音声を流すことで、テレビ・ラジオの代役も果たす。情報発信の枠を超え、広告媒体としての価値も持つようになり、オンラインショッピングや会話・ゲームなどが楽しめるサイバーモール(仮想商店街)も続続開店した。インターネット電話も本格化しつつある。
 これまで主流であったクローズドなパソコン通信も、世界最大の会員数800万人を誇るAOL(アメリカン・オンライン)や、国内最大の会員数250万人のNIFTY−SERVEなど、こぞってオープンなインターネットに移行したり、連携を強めている。

 一見華やかなインターネット市場だが、プロバイダーからは収益面での成功の声はほとんど聞かれない。各種の有料情報提供サービスなどのコンテンツ事業、サイバーモールやオンラインショッピングなどEC事業、バナー広告など広告事業も全く同様で、個人や家庭向け市場は暗中模索状況が続いている。旺盛な企業のネットワーク化意欲を受け、企業内システムの構築や、システム・ネットワークの運用・監視代行サービス、サーバーの運用代行など、企業向けイントラネットサービスにシフトする事業者も増えている。

 我が国のインターネットの需要拡大に勢いがでない最大要因は、NTTが事実上独占している高価で貧弱なアクセス回線にある。OCNも決め手にならず、渋滞を解消しユーザーの利用環境を向上させるためには、急速なトラフィックの増加に対応する高速・広帯域のバックボーンが必要である。反面、それはまた片方向のトラフィックだけが多いいびつなネットワークでもある。

 こうしたインターネットの抱える問題点の打開策として注目を集めているのが、衛星インターネットに他ならない。


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