3.衛星インターネットの可能性
(1).衛星インターネットとは インターネットを進化させる衛星の利用法には、純粋にインターネットへのアクセス回線や中継回線として衛星を利用する「衛星インターネット」と、プッシュ型の情報配信サービスや動画中継サービスなど、ホームページのコンテンツと同形式のファイルを衛星経由で「片方向」に配信する「衛星データ放送」がある。
もっともこの区分は「双方向は通信」「公衆向けの一方向通信は放送」と定義されている現在の電波法や放送法が技術や市場の変化についていけないための郵政省の方便ともいえ、ユーザーの視点からは両者を区分する必要は全くない。
(2).衛星インターネットの特徴とメリット
これまで述べてきたように衛星インターネットは、上り方向のユーザーからのアクセスに従来の地上系回線を使い、下り方向に衛星回線を使うサービスである。衛星回線を使うことで、米国や首都圏に集中するサーバーからの情報を、広域に高速で送出でき、地上の専用線で構成するバックボーンの負荷を軽減できる。衛星とインターネットは不思議なほど相性がよい。インターネットの一部に衛星を取り込むことで衛星の特徴である同報性・広域性・可搬性・高速性が生かされ、多くの問題を解決できる。
<衛星インターネットのメリット>
衛星の特徴 | インターネット利用のメリット | |
同報性 |
衛星のカバーエリア内であれば、どこにでも同じ情報を配信できる どこでも同じ情報を受信できる |
イベントの動画中継やプッシュ型情報配信サービスに適する ルーターに負荷をかけずにIPマルチキャストに対応可能 |
広域性 | 日本全域および周辺各国までサービスエリアになる | 専用線のコストを意識せずに全国規模のネットワーク展開、アクセスポイント展開が可能 |
可搬性 | 衛星からの電波を受けるアンテナを設置するだけで、どこでもサービスを利用できる | 専用線の敷設を待つことなくサービスを利用可能 |
高速性 | トランスポンダ1本で12M〜45Mビット/秒の伝送能力を持つ | 加入者宅までの高速インターネットサービスを提供可能 |