(3).衛星デジタル放送の現状と課題

 昨年10月パーフェクTVが開局した。テレビ70、ラジオ100の多チャンネルを武器に活発な販促キャンペーンに加え、受信機も立ち上がり時のトラブルや品不足が徐々に解消、半年で20万を超える加入者を獲得、まずまず順調なすべりだしを見せた。
 が、本年に入り、加入者が伸び悩む中(8月末累計加入者38万)、市場性に対する疑念、絶対的コンテンツ不足など、ディレクTV(12月)、JスカイB(98/4)の開局目前にも関わらず様々な動きが出来、混迷状態に。

 最たるのが、パーフェクTVとJスカイBの合併も睨んだ業務提携。受信機・ICカード共通化に加え、契約申し込み・課金システム・顧客センターなどの統一も検討する模様。

送受信システム・端末をめぐるソニーと松下の主導権争いも激化。受信機共通化は決まったものの、仕様・価格・投入時期など他メーカーは両社の様子待ち。受信機販売もコンビニ、電話販売店など新たなルートや、番組視聴との組み合わせ、レンタル方式など新たな仕組みの登場で競争は一層激化、値崩れ・タダ配りが蔓延した移動体の二の舞も。

番組供給事業者も、最大手JICの資金難(セコム主導で経営再建へ)、サテライトニュースの放送免許一部返上など、調達コストの高騰、コンテンツ不足が深刻で、撤退が相次ぐ可能性も。

本来パーソナルな衛星デジタル放送が、圧倒的な力を持つマスメディアと同じ土俵で戦っても所詮勝負にならない。2000年にも地上波やBSのデジタル化が始まる。それまでに、前述のようにマス(量)ではなくパーソナル(個)に徹し、「質」「量」とも着実に普及させ、根づかせることが肝要である。

<衛星デジタル放送事業者の概要> 

パーフェクTV ディレクTV JスカイB
サービス開始時期 96年10月 97年12月予定 98年4月予定

使用衛星(位置)

JCSAT−3
(東経128°)
スーパーバードC
(東経144°
JCSAT−4
(東経124°)
チャンネル数 100 100予定 100予定
事業母体 JSAT
伊藤忠商事
三井物産
日商岩井
住友商事
米ヒューズ
CCC
松下電器産業
徳間書店
豪ニューズ
ソフトバンク
ソニー
フジテレビ
出資・協力企業 ソニー
トヨタ自動車
NEC
NTT 他
宇宙通信
三菱商事
三菱電器
大日本印刷
電通
丸紅
オリックス
光通信
設備・システム ソニー中心 松下中心 ソニー中心
番組調達 サプライヤー中心 母体企業中心 母体企業中心
データ放送対応 パソコン向けサービスから開始
12月本放送予定
テレビ向けサービスから開始 未定(当面は映像主体


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