(4).衛星データ放送サービスの動向

 すでに、我が国でも地上波テレビ電波のすき間を使い、インターネットと同形式のデータを送信するデータ多重放送サービスが開始されている。テレビ朝日系列の[ADAMS]とTBSの「データパレード」。パソコンとテレビアンテナをつなぐ専用受信ボードがあれば、加入金や月額利用料は不要だが、伝送能力が40Kビット/秒といかにも力不足。
 これに対し衛星は1M〜6Mビット/秒と高速のデータ伝送能力を持つ。受信端末となるパソコンも、マイクロソフトが来年発売のウィンドウズ98に衛星データ放送受信機能を標準搭載させる予定。動画や音声など大容量コンテンツがインターネットと同等の操作・利用環境で扱えるようになる。

 インターネット放送と呼ばれるプッシュ型情報配信サービスの場合、ユーザーは情報を取るためにインターネット上のサーバーにアクセスする手間が省けるばかりでなく、接続の際の電話代やプロバーダーへの接続料金を節約できる。動画像などのストリーム型データを衛星経由で送出すれば、テレビと同じサービスを実現できる。
 最初のパソコン向け衛星データ放送サービスは、パーフェクTVが12月に予定している「PerfecPC!」。ディレクTVは当初はパソコンではなく、IRD(受信用チューナー)にテレビ番組と連動した「インタラクTV」を標準装備する。リモコンの操作で番組に付帯する情報(レースの最新オッズ・過去の競争成績、タレントのコンサート情報等)を映像画面に呼び出すことができる。

 PerfecPC!で予定されているサービスは、下記のとおり

  1. 電子番組表(EPG:electronic program guide)

  2. 受信番組を設定すれば、あとは自動的にデータを受信し、ハード・ディスクに記録
  3. HTMLファイルやプログラムなどのファイル配信サービス
  4. パソコン上でテレビが見られる「PerfecTV on PC」
  5. テレビ番組とデータ放送の連動型サービス
  6. 動画や音声などのストリーム型データを配信するリアルタイムサービス、

 パソコンに内臓する受信ボードも11月には発売される。チューナー内蔵タイプと、チューナー機能を持たずIRDを利用するタイプがあり、価格はチューナー内蔵タイプが市販IRDより1〜2万程度のアップ、チューナー無しのボードは2万円代となる見込み。
 前述のように来年にはウィンドウズ98にデジタル衛星放送や地上波データ放送の受信機能が標準装備される。モデムやLANの通信機能が標準になったように、データ放送の受信機能がパソコンの標準機能になる日も近い。


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