(3).衛星インターネットサービスの現状

 インプレスの電子メールニュース読者に対する調査によれば、実に8割のユーザーが「衛星インターネットに期待している」と回答。こうしたニーズに呼応するように衛星通信事業者の宇宙通信や、日本サテライトシステムズ初め、ベッコアメやダイレクト・インターネット、そしてNTTや富士通などが相次いで衛星インターネットサービスを開始した。
 いずれも、企業や接続事業者など法人向けのサービスで、「現行技術ではコストが高すぎる」「個人ユーザーを引き付ける魅力的なコンテンツがない」など、個人ユーザー向けサービスには各社とも半信半疑。次項で述べる衛星データ放送からのアプローチに個人向け衛星インターネットサービスの期待がかかる。

<主な衛星インターネットサービス>

サービス提供会社

   サービス名

       概    要

宇宙通信
(SCC)
DirecPC
TCP/IP通信サービス
国内にNOCを設置し衛星経由のインターネット・アクセスを提供
伝送容量に応じて課金する料金体系採用
ダイレクト・インターネット
(DIC)
DirecPC
ターボ・インターネット・サービス
米国に設置したNOCと接続
基本サービスは宇宙通信と同じ。米国NOC内に高速動画サーバーを設置し、高精細な映像配信サービスなど付加サービス検討中
日本サテライトシステムズ
(JSAT)
IPMcast 専用線イメージのTCP/IP通信サービス
専用ルーターを設置し地上系インターネットと衛星の経路を制御
IPマルチキャスト・アプリケーション利用可能
インフィネット IPMcast
コミュニティLANシステム
CATVインターネット接続
マンションやCATV会社にインターネットのバックボーン・ネットワーク提供
独自開発のキャッシュ用サーバーを設置し、マンション内LANやCATV網など高速ネットワーク内でアクセス可能とする
NTT マルチメディア衛星通信ネットワーク
(実用実験)
東海大学や学習研究社と共同で、端末向けに実験実施中
国内の衛星デジタル放送仕様「DVB」に準拠し、同時にMPEGで動画配信サービスも提供可能
ベッコアメ・インターネット SPACE−B プロバイダー向けサービス
米国に設置したNOCから固定的に日本のプロバイダーへ衛星リンクを形成する
品目は1.5M〜45Mビット/秒

 衛星をイントラネットの基幹網や、企業内ネットワークの一部として利用するサービスも次々と登場。ファイル配信サービスを活用すれば、大量のデータを全国の拠点に一括して配信できISDNやCD−ROMの郵送に比べコスト削減や時間短縮が可能となる。


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