**********************************************************************      ■□■ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ■□■           第 091号 2000年 6月 5日発行         〜総配信数 1,740部(含抄録版) Thanks!〜 ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 01.衛星通信の話題から  ・NTTサテライト、個人向け衛星インターネットサービス打ち切り  ・パソコン向け衛星データ放送「SKY PerfecPC!」6月でサービス終了 02.衛星放送の話題から  ・日テレ、WOWOW等と共同でCSデジタル放送参入を検討  ・松下、BSデジタル対応受信機を発表  ・移動体向け衛星デジタル放送、サービス開始時期を2003年に延期 03.検索ポータルの話題から  ・スペインのネット通信最大手テラ、ライコスを買収へ  ・フレッシュアイ、ECサイト検索に特化した新検索システム開始  ・ライコスジャパン、コミュニティサービス「LYCOSクラブ」を開設 04.ソフトバンクの話題から  ・スピードネットがサービス開始を延期、真藤社長退任  ・DSLサービスの新会社「エックステージ」設立 ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●衛星通信の話題から ─────────────────────────────────── ○NTTサテライト、個人向け衛星インターネットサービス打ち切り  http://www.megawave.ne.jp/taiou/  http://www.megawave.ne.jp/select.html  NTTサテライトコミュニケーションズは、通信衛星を利用した個人向けイン ターネット接続サービス「Mega Wave」の新規会員受け付けを停止、9月末でサ ービスを中止する。  Mega Waveの現在の会員数は約6000人。昨年6月に開始後、僅か1年での撤退 となる。最大1Mbpsの通信速度と、月額3980円の定額利用料で評判を呼んが、 現実には、夜間などネット接続が集中する時間帯には通信速度が大幅に低下し てしまうという事態が頻繁に起きた。  バックボーン回線増強などシステム強化の選択肢もあったが、利用料金を10 倍程度にしないと採算が取れないことから、サービス中止を決定した。  今後は、あらかじめ用意したコンテンツのみを衛星経由で配信するマルチキ ャストサービス「Mega Wave Select」を展開する。法人向け衛星イントラネッ トサービス「Mega Wave Pro」は今後も継続する。 ─────────────────────────────────── ○パソコン向け衛星データ放送「SKY PerfecPC!」6月でサービス終了  http://www.skyperfectv.co.jp/info/release/20000508_518.html  スカイパーフェクTVは、パソコン向け衛星データ放送サービス「SKY Perfec PC!」を6月末で終了する。主要コンテンツについては、NTTサテライトの衛星 マルチキャスト配信サービス「Mega Wave Select」で提供する。  SKY PerfecPC!は、CS放送「SKY PerfecTV!」用受信設備にPC用接続ボードを 組み合わせることで、動画や音楽データなど大容量コンテンツをパソコンに配 信するサービス。昨年1月にサービスを開始、その後同じ通信衛星を利用する 衛星インターネットサービス「Mega Wave」と受信ボードの共用化が図られた。 現在の加入者は約1,500人。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  “衛星”を新ビジネスの主要ターゲットとしてきたマイクルにとって、極め て残念である…。  今回のケースも、衛星携帯電話イリジウムのサービス中止と同様、杜撰な市 場見通しと事業計画、そしてユーザーニーズを読み違えたことが主因で、衛星 の技術的可能性には変りないと思う。要はマーケティングの失敗である。  言いたいこと書きたいことは山ほどあるが、“衛星”からは一歩後退せざる を得まい。二歩前進の日はいつ来るのであろうか。  本件については、PC Watchのコラム「元麻布春男の週刊PCホットライン」の 「衛星通信サービス打ち切りとリビングルームPCの後退」に詳しい。  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000524/hot94.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●衛星放送の話題から ─────────────────────────────────── ○日テレ、WOWOW等と共同でCSデジタル放送参入を検討  http://www.ntv.co.jp/press/0005/z014.html  日本テレビは、「日本テレビとWOWOWが、CSデジタル放送進出で合意、共同 出資で新会社を設立」との報道に関し「事実でない」と否定した。  一方、「110度CSは我々にとって一つの狙いでもある。CS放送がスカイパー フェクひとつという独占になっていることはいいことではないし、そのために 立ち上げを考えた」と、参入そのものの検討を認め、企画・戦略会社の共同設 立について、WOWOWや東京キー局始め、海外企業等へも参加を呼びかける。 ─────────────────────────────────── ○松下、BSデジタル対応受信機を発表  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000525/pana.htm  松下電器産業は、BSデジタル&データ放送対応テレビと、既存のテレビに外 付けして使うセットトップ・ボックス(STB)型受信端末を発表した。24日から 予約を受付、試験放送が始まる9月1日に出荷を開始する。  36型ワイド画面の「BSデジタルハイビジョンテレビ」(48万円)と、STB「BS デジタルハイビジョンチューナー」(実売10万円台前半見込み)。当初普及が見 込めるSTBは、既存のハイビジョンTV向けの高精細画像出力機能を搭載したた め、普及価格帯の目安としてきた3万円前後より割高になった。  12月の本放送開始後には、機能を簡略化した次期製品を発売、半額程度の価 格を実現したいとしている。 ─────────────────────────────────── ○移動体向け衛星デジタル放送、サービス開始時期を2003年に延期  http://www3.toshiba.co.jp/ccc/page/c851.htm (情報未掲載)  東芝、トヨタ自動車、富士通などが出資する「モバイル放送(株)」は、衛星 を使った自動車など移動体向けデジタル放送サービスを、当初計画の2001年か ら、2003年に延期することを明らかにした。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  衛星通信同様、“衛星放送”分野も前途多難である。  当初のパーフェク、BスカイB、ディレク3社から、スカパーに一本化(ソニー、 フジの主導権確立)されたCSは、新たな利権(110度CSのチャンネル数は80程度) を目指し、松下、日テレが巻き返しを図る。  あの受信機価格では、BSはコンテンツうんぬん以前に普及など覚束ない。  モバイル放送も、週刊朝日6月2日号に「自動車向けモバイル放送計画迷走。 旗振り役、東芝の強きに参加企業がブツブツ」というタイトルで取り上げられ た。杜撰な事業計画(対象ユーザー、提供サービス、加入者見込み、競合サー ビス、資金計画…)や、四分五裂状態の社内状況、「社員に自分の人生をかけ てと思っている人がいますか。サラリーマン根性では成功しません」とのコン サルタント会社の説教までもがレポートされている。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●検索ポータルの話題から ─────────────────────────────────── ○スペインのネット通信最大手テラ、ライコスを買収へ  http://www.hotwired.co.jp/news/news/20000517103.html  スペインのプロバイダー大手テラ・ネットワークスは、米ネット検索大手ラ イコスを株式交換方式により総額125億ドルで買収・合併する。  新社名は「テラ・ライコス」。独メディア大手ベルテルスマンとも提携、世 界37ヶ国でネット接続サービスや、電子商取引、次世代通信技術などを手がけ ていく。両社を合わせた2000年度の売上高は5億ドル、ユーザー数は5,000万人、 1日当たりのページビュー数は1億7,500万となる見込み。 ─────────────────────────────────── ○フレッシュアイ、ECサイト検索に特化した新検索システム開始  http://www.fresheye.com/dotbrand/  検索ポータルサイト、フレッシュアイは、複数ショッピングサイトを同時検 索できるサービス「.Brand(ドットブランド)」を開始する。  提携オンラインショップの商品を、ジャンルや価格帯などで検索、一覧表示 でき、欲しい商品をすばやく見つけることができる。 ─────────────────────────────────── ○ライコスジャパン、コミュニティサービス「LYCOSクラブ」を開設  http://club.lycos.co.jp/  検索サイトのライコスジャパンは、コミュニティサービス「LYCOSクラブ」 を開設した。特定にテーマに沿った「クラブ」を開設し、そこで掲示板やチャ ット、共用スケジューラーなどを無料で利用できる。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  ポータル業界が激変しつつある。米国では、ヤフーを除く大手ポータル各社 が相次いで巨大企業の傘下に入った(下記参照)。財務体質の強い大企業と組み、 技術力とブランド力の両面が必要な顧客獲得競争を勝ち抜くためだ。  <米国の大手ポータル会社の動向>  1位.アメリカン・オンライン(AOL) :タイムワーナーと合併合意  2位.ヤフー :自主独立路線堅持  3位.マイクロソフト・ネットワーク:マイクロソフト傘下  4位.ライコス :スペイン、テラが買収  5位.エキサイト・アットホーム :AT&Tの実質傘下  6位.ゴー・ドット・コム :ウォルト・ディズニーが買収    (旧インフォシーク)  我国でも、無料メールアドレスやホームページスペースの提供に加え、最近 では掲示板やチャットなどの無料コミュニケーション機能を強化するなど、検 索ポータル各社の利用度(PV ページビュー)向上競争が激化している。先行し たヤフーでは、コミュニケーションサービスのPVがすでに全体の3分の1を占め るという。  ライコス(約10億円)、エキサイト(約20億円)は、大量の広告宣伝費を投入、 知名度向上を図り、グーやフレッシュアイは機能重視で圧倒的強さを誇るヤフ ーを追う。  <検索ポータルの人気ランキング> 99年3月 2000年3月  1位.ヤフー(ソフトバンク) ヤフー  2位.グー(NTT-X) グー  3位.インフォシーク(独立系) エキサイト  4位.フレッシュアイ(東芝) インフォシーク  5位.エキサイト(伊藤忠等) ライコス(住友商事等) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ソフトバンクの話題から ─────────────────────────────────── ○スピードネットがサービス開始を延期、真藤社長退任  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc1574.html  http://www.speednet.co.jp/  東京電力、ソフトバンク、米マイクロソフトの3社が共同出資で設立した無 線によるインターネット通信会社スピードネットは、今夏に予定していた光フ ァイバーと2.4GHz帯無線LAN技術を使った広帯域インターネット接続サービス の事業開始時期を延期する。  同時に、真藤豊氏も社を退く。氏はNTT初代社長の真藤恒氏の三男で、設立 時にソフトバンクの孫正義社長から招聘された。NTTより安価なサービスを目 指し鳴り物入りでスタートしたが、通話品質や採算性、事業計画など株主間の 思惑が対立、事実上の解任との見方も出ている。 ─────────────────────────────────── ○DSLサービスの新会社「エックステージ」設立  http://www.softbank.co.jp/groupnews/g000522.htm  http://www.softbank-net.com/  ソフトバンクグループのネットインフラ関連事業を統括する中間持株会社ソ フトバンクネットワークス(真藤豊社長)は、DSLによるインターネット接続サ ービスを提供する新会社「(株)エックステージ」を設立した。  一般家庭や法人を対象とした定額制サービスを今年度中に首都圏などで開始 する。新会社は有線、スピードネットは無線という形ですみ分けるという。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  同じ穴の狢と称するにはいささか失礼だが、光通信の後はソフトバンクとば かり、最近ソフトバンクと孫氏に関する記事がやけに目に付く。上記に加え、  ・財務の要北尾氏、孫氏と一歩距離。金融統括子会社に専念  ・日債銀のソフトバンク連合への譲渡、白紙に  ・連結純利益77.5%減、時価総額経営頓挫 など、一連の報道で株価は今年2月の最高値19万8千円から1万6千円に急落、16 兆円以上が吹き飛んだ。時価総額経営で夢見た“虚業家”孫氏のネット財閥構 想が、風前のともし火となりつつある。  かわら版のバックナンバーを見るまでもなく、マイクルの先見の明をお分か りいただけるだろう。(^J^) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■□企画・制作・発行■□ (有)マイクル http://www.micle.co.jp/        231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406             TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 **********************************************************************