**********************************************************************      ■□■ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ■□■           第 089号 2000年 5月 8日発行         〜総配信数 1,700部(含抄録版) Thanks!〜 ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 01.デジタル放送の話題から  ・ソニー、フジテレビに出資へ  ・スカパー&ディレク統合、番組移行計画暗礁に  ・BSデジタル、民放系5社は全てHDTV番組で  ・地上波デジタル、アナログ変更対策852億円は国の全額負担で 02.ドット・コム時代の終焉!  ・ドット・コム小売り業者の大半が2001年に市場から撤退  ・オンライン企業に迫るバーンアウト(資金枯渇)の危機 03.「ペーパーレス」はどこへ行った?  ・「紙」超える日まだ遠く。電子書籍配信実験終了、事業化に課題山積  ・パソコンやインターネットが「紙」の需要を増やしている 04.元気な地方都市の共通点は? ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●デジタル放送の話題から ─────────────────────────────────── ○ソニー、フジテレビに出資へ  http://www.world.sony.com/JP/News/Press/200004/00-0424/  4月24日付の日経新聞は、ソニーがフジテレビに資本参加する方向で最終調 整に入ったと報じた。出資比率は10%前後となる見込みで、2003年から運用が 予定されている地上波デジタル放送を見据えて、ソニーの放送関連技術力とフ ジの番組制作能力を組み合わせて両社による相乗効果を狙うとしている。  これに対し両社は、放送と通信の融合時代を迎え協力関係を模索している段 階で「具体的なものはまだ何も決まっていない」としている。 ─────────────────────────────────── ○スカパー&ディレク統合、番組移行計画暗礁に  スカイパーフェクTVとの事業統合を決めたディレクTVの番組を、スカパーに 移行させる計画が暗礁に乗り上げている。ディレク側と番組供給会社側との交 渉がいっこうに進展しないのが理由。  番組供給会社の過半は、両社で同一内容チャンネルを放送しているが、ディ レクのみで放送する34の独自チャンネルが宙に浮いた状態。  ディレク加入者に対するスカパー専用受信機の無料配布措置は始まったが、 番組の移行がスムーズに行かなければ、事業統合の前提である視聴者保護がな いがしろにされる可能性も。 (日経産業新聞4月24日付記事より) ─────────────────────────────────── ○BSデジタル、民放系5社は全てHDTV番組で http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/comm/100695  民放キー局系BS放送会社5社は、本年12月1日に本放送を開始するBSデジタル 放送について、いずれもHDTV(高精細画質テレビ)編成の番組だけを放送する。 HDTV番組を放送しない時間帯には、SDTV番組を3チャンネルまで放送すること ができるが、SDTV(標準画質テレビ)用の機器を使って制作された番組も、HDTV にアップコンバートして放送する。  その理由を、(1).SDTV番組を複数チャンネルで放送できるだけのソフトを用 意するのが難しい、(2).同じ時間帯にSDTV番組を複数チャンネルで放送すると、 広告を獲得するための営業活動がやりにくくなる、としている。  放送形態は、CMを入れた無料放送。「1000日で1000万世帯の視聴者獲得」と いう普及目標を最優先し、有料放送はしばらく行わない。 ─────────────────────────────────── ○地上波デジタル、アナログ変更対策852億円は国の全額負担で http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/comm/100693  NHKと民放各局、郵政省で構成する「地上デジタル放送に関する共同検討委 員会」は、地上波テレビ放送のデジタル化方策に関する検討結果を発表した。  デジタル用周波数を確保するために必要となる「アナログ周波数の変更対策」 として、影響世帯数が約246万世帯、対策費が約852億円(うち送信対策約312億 円、受信対策約540億円)と試算し、国が全額負担すべきとした。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  連休のさ中、東京・渋谷のNHK放送センターで4月29日から5月7日まで開催さ れた「BSデジタルフェア」を覗きに行った。NHKによると、9日間の会期でフェ アを訪れた来場者数は21万人に達し、BSデジタル放送への関心の高さが伺えた とのことであるが…。  http://www.nhk.or.jp/digital/fair_index.html  印象に残ったのは、大画面液晶プラズマディスプレーによる「ハイビジョン」 放送の綺麗な画面のみ。明らかにコンテンツ(番組)不足で、目玉の一つデータ 放送番組も貧弱。民放系BS放送会社の準備不足も覆い隠しようが無い。  液晶プラズマテレビなど当面高くて買えるわけがないし、迫力あるスポーツ 映像ならともかく、ニュースや天気予報、教育番組などをハイビジョンで見て もしょうがない。  「1000日で1000万世帯の視聴者獲得」は、到底不可能である。  先号で紹介した、辛坊 治郎著「TVメディアの興亡〜デジタル革命と多チャ ンネル時代」から、98年秋にアメリカで地上波デジタルテレビが始まった直後 にワシントンポストに掲載されたという投書を紹介しよう。  「デジタル化の大騒ぎに乗せられて、私もその素晴らしい画質を体験したい と考えて、高価なテレビを買うための貯金を始めた。でも、30年間テレビ局の 管理職として働いた経験から言わせてもらえば、一度たりとも、走査線の数が 500本しかないことで視聴者に文句を言われたことはない。苦情はと言えば、 増え続けるくだらない番組、貧弱な内容についての批判ばかりだった。今、こ こにきて、デジタル化への変換に数千億円の金を使おうとしているテレビ産業 は、いったいこの批判に、どう答えるのだろうか?」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ドット・コム時代の終焉! ─────────────────────────────────── ○ドット・コム小売り業者の大半が2001年に市場から撤退  http://www.hotwired.co.jp/news/news/20000413101.html  米調査会社Forrester Researchは、財務体質の脆弱さや競合圧力の激化、投 資家の引き上げなどにより、「オンライン小売り業者の大半が2001年には姿を 消すだろう」との調査報告を発表した。  まず、書籍やソフトウェアなどネットの初期段階から成功している企業が、 今年秋までに不振に陥いる。次いで、ペット用品、玩具、家電など画一的な薄 利商品を扱う企業が、類似品の増加で2001年末までにつぶれる。衣料や家具な ど高価なブランド商品は2002年まで安定を維持する、と予測している。  このような業界統合を生き残るために、スケール、サービス、スピードが必 要と提言した。 ─────────────────────────────────── ○オンライン企業に迫るバーンアウト(資金枯渇)の危機  http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/fri/cyber/mbi/000405d1.htm  食品雑貨のオンライン注文・宅配サービスの最大手ピーポッドと、ネットに よる音楽CD販売で有名なCDナウが経営難に追い込まれている。  米国の経済誌「バロンズ」のネット関連の株式公開企業207社の財務状況分 析によれば、207社はいずれも赤字で株式公開などで調達した手持ち資金は消 耗していき、結果年内にバーンアウトが予想される企業は43社で、その筆頭が CDナウとピーポッドだった。  アマゾンのようなカリスマ企業は別として、オンライン専業のEC企業にとっ て、追加資金調達は非常に難しい。昨年末以来これら企業の株価が下がり続け ているのは、今後も利益が出る見込みはないと投資家が見限ったからである。  損失を出しても将来性が買われた昨年前半までと状況は一変し、資金提供を 申し出るベンチャー投資会社はいなくなった。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  「ドットコム」時代は本当に、終焉したのであろうか。米国で、一時代を築 いた数多くのベンチャー企業が、ネットバブルで濡れ手に泡で資金を調達し得 たにもかかわらず、赤字を垂れ流し利益を上げられないまま崩壊の危機に瀕し ているのは事実であろう。その多くが自社で仕入れた商品を売る小売業の形態 を単にインターネットに移植しただけのECベンチャーであることも。  光通信やソフトバンクをあげるまでもなく、我国でも全く同じ状況が現出し ているのは言うまでもない。  以前も、かわら版で紹介したことのあるニューヨーク在住のジャーナリスト 小林雅一氏が、「クラッシュ後のドットコム産業はどこへ行く」と題し、日経 BizITに寄稿している。 http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/top/view/future/backnum/2000/1h/20000424.html  もともとドットコムという特殊な企業形態は不自然だったのではないか。イ ンターネット販売に特化したビジネスモデルは、ネットブームが生んだ一時的 な現象として歴史に残るだろう。むしろ既存のBrick and Mortar(伝統的な一 般小売業者)が、業務拡張の一環としてオンラインビジネスに進出するという のが、本来の姿ではなかったかと思う。現在の合併吸収の動きは、Eコマース ビジネスがようやく本来のサヤに納まりつつあるということだ。  ネットバブルが弾け、「新たなビジネスモデル」を構築し得た“本物”のベ ンチャー企業のみが生き残れる時代が到来した。  ようやくマイクルが臨むに相応しい環境が訪れつつある。(^J^) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●「ペーパーレス」はどこへ行った? ─────────────────────────────────── ○「紙」超える日まだ遠く。電子書籍配信実験終了、事業化に課題山積  http://www.ebj.gr.jp/ (電子書籍コンソーシアム)  出版社や書店など150社以上で組織する「電子書籍コンソーシアム」が電子 書籍配信の実用実験を終え解散した。  コミックや実用書などを通信衛星によって書店やコンビニの店頭端末に配信 し、購入したユーザーが専用携帯端末やパソコンで読むという試み。通信環境 の不十分さや専用端末の使いづらさなど技術面の課題が大きく、事業化の見通 しは立たなかった。  大手出版社の間では、電子文庫の共同配信など新たな試みも始まったが、技 術の向上だけでなく「紙」の書籍にはない独自の魅力作りが必要との見方も広 がっている。 ─────────────────────────────────── ○パソコンやインターネットが「紙」の需要を増やしている  http://www.hotwired.co.jp/news/news/20000425205.html  コンピューターの発達によって紙の使用量が減ると言われた時代があった。 しかし実際には、電子メール、電子商取引、そしてあらゆるオンライン上のテ キストを、多くの人々はプリントアウトしている。  HP社は、インターネット利用の増加とプリンター需要の増加は、直接的な相 関関係にあるとし、現在400億ドルのプリンティングおよびイメージングの市 場規模が、わずか3年で1000億ドル規模の市場となるだろうと予測している。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  上記記事に「人はみな紙が大好きだ」とあるように、マイクルも紙が大好き である。ディスプレー“画面”より、“紙面”に限る。  しかし、紙はとにかく重いし嵩張る。したがって、紙にはない独自の魅力作 りができれば、画面と紙面は共存する。下記のように様々な電子出版の試みが されているが、生き残るのはどこだろうか。 ・Bitway-Books(凸版印刷)  http://conpara.topica.ne.jp/ ・HONCO on demand(大日本印刷)  http://www.honco.net/ondemand/index-j.html ・BookPark(富士ゼロックス)  http://www.bookpark.ne.jp/ ・電子ブック(ソニー)  http://www.ebxa.gr.jp/ ・ボイジャー  http://www.voyager.co.jp/ ・青空文庫  http://www.aozora.gr.jp/ ・光文社電子書店  http://kappa.cplaza.ne.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●元気な地方都市の共通点は?  地方を歩くと元気な街と沈滞した街に二分される。活気のある都市の共通点 は「ハサミ」と「フォーク」と「キーボード」。  ハサミは「才能ある美容師のいる美容院」、フォークは「若々しいイタリア レストラン(古典的フランス料理店では無く)」、キーボードは「新分野にチャ レンジする新設の情報系大学」。それぞれ、「生きのいい文化」「開放的ネッ トワーク」「はずむような創造性」を象徴する。  沈み込んだ街は、若者文化の軽視と閉鎖性と前例主義がはびこっている。地 方都市の活性化は身近なものから始められるのだ。  (日経産業新聞4月24日付、博報堂生活総研所長、関沢英彦氏の市場トレンド  「私はこう読む」より) ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  確かに肯けるが、ハサミとフォークとキーボードが地方で“身近”に手に入 れば誰も苦労しない。タマゴが先かニワトリが先か知らぬが、活気がないから 若者は離れ、若者がいないから活性化しないという悪循環を、どうすれば断ち 切れるかの具体的提案こそが求められている。  評論家ではなく実践家こそが!。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■□企画・制作・発行■□ (有)マイクル http://www.micle.co.jp/        231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406             TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 **********************************************************************