**********************************************************************      ■□■ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ■□■           第 082号 2000年 2月21日発行         〜総配信数 1,650部(含抄録版) Thanks!〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  インターネット、情報通信、放送関連の話題を、氾濫する情報洪水の中から  厳選、平易かつ簡明に要約・解説してお届けします。             by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 01.衛星通信の話題から  ・DDIと京セラ、衛星携帯電話「イリジウム」から撤退  ・米マイクロソフト、年末にも衛星インターネットサービス提供へ 02.衛星放送の話題から  ・BSデジタル放送、6月に実験放送開始。本放送は12月1日より  ・Sバンド利用の衛星デジタルラジオ、放送開始は1年遅れ2002年以降に 03.キオスク端末の話題から  ・東芝、駅構内のキオスク端末でコンテンツの配信実験  ・JR西日本、「デジタルキヨスク」のコンテンツをWeb上で販売  ・トヨタ、デジキューブと提携。ガズー用新端末を共同開発  ・松下冷機、「無人コンビニ」「サービス自販機」事業に進出 ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●衛星通信の話題から ─────────────────────────────────── ○DDIと京セラ、衛星携帯電話「イリジウム」から撤退  http://www.iridium.co.jp/ (日本イリジウム 情報未掲載)  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc1342.html  (日経コミュニケーションより)  DDIは、米モトローラが主導する衛星携帯電話サービス「イリジウム」から 撤退する。事実上倒産し経営再建を目指している米イリジウムへの数十億円規 模の追加出資を取り止め、DDI・京セラグループが約6割を出資する国内サービ ス会社「日本イリジウム」を今春にも清算する。既存利用者(約4000)に対する サービスはDDIが引き継ぐ。  イリジウムは98年11月に世界初の衛星携帯電話サービスを開始したが、通常 の携帯電話の性能向上と料金低下が猛烈な勢いで進む中、加入台数は約5万台 と伸び悩んでいた。英ICOグローバル・コミュニケーションズや米グローバル スターなど他の衛星携帯電話の先行きにも暗雲が立ち込めている。 ─────────────────────────────────── ○米マイクロソフト、年末にも衛星インターネットサービス提供へ  http://www.hotwired.co.jp/news/news/3744.html (WIRED NEWSより)  米マイクロソフトとイスラエルの衛星会社ジラット・サテライト・ネットワ ークスは、衛星による家庭向け高速インターネット接続サービスで提携した。 新会社「ジラット・トゥ・ホーム」を設立、マイクロソフトは新会社に5000万 ドルを出資、全株式の26%を取得する。  マイクロソフトのネットサービス「マイクロソフト・ネットワーク(MSN)」 を、新会社の広帯域衛星通信システムを介して全米の家庭に提供する。試験サ ービスはまもなく開始され、年末までには全米での接続が可能になる見込み。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  マイクルはこれまで“衛星”にかなり拘ってきた。次世代のマルチメディア インフラの本命として、衛星インターネットに期待したからである。  最近、いささか関心が薄れつつある。かわら版の説明文も、「マルチメディ ア(テレビ*パソコン*電話)とサテライト(衛星)関連の…」でスタート、昨年 までは「マルチメディアやインターネット、衛星関連の…」と記し、今年から は「インターネット、情報通信、放送関連の…」と変更した。(気づいていな い読者も多い?)  電話とテレビに代表されるように、通信と放送の基本的違いは、特定相手と の双方向の情報交換(通信)か、不特定多数への片方向の情報提供(放送)かとい うこと。これまでは、電話は双方向通信が可能だが、送受信できる情報量が少 ない。テレビは、大容量の映像が送られてくるが、双方向性は無いということ で厳然たる境界が存在していた。  インフラも有線回線でつながった固定電話と無線を利用する移動電話、電波 による一般放送とCATV(ケーブルテレビ)、地上波と衛星等々「有線系(固定系) vs無線系(移動系)」「地上系vs衛星系」と区分されてきた。  パソコン、そしてインターネットの登場により情報機能が飛躍的に向上、そ の境界が崩れ始めた。間近に迫った次世代サービスでは通信と放送の区別は消 滅、融合したマルチメディアサービスとなる。  電話サービスのみの衛星携帯電話は案の定失速した。次世代高速ネットイン フラとして、衛星・CATV・DSLの三者が鎬を削る米国でも、衛星の旗色は必ず しもよくないようだ。マイクロソフトも衛星よりCATVを先行、衛星指向のAOL も、タイムワーナーとの合併でCATVの比重が高まる。  我国でも、ダイレクトインターネットやNTTサテライトの衛星インターネッ トサービスは、低迷を脱していない。  マイクロソフトの新サービスで“衛星”の巻き返しはなるか?。  059号「米イリジウム、更生法適用を申請。DDIの経営にも影響か?」   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara059.txt  068号「衛星携帯電話、苦境脱出はなるか?」   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara068.txt  042号「衛星インターネット「Mega Wave」、月額3,980円の定額制に」   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara042.txt  052号「AOL、ヒューズとの提携を強化、衛星でCATVに対抗」   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara052.txt  055号「衛星事業に楽観的なモトローラ!?、イリジウムの失敗はテレデシッ     クで」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara055.txt ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●衛星放送の話題から ─────────────────────────────────── ○BSデジタル放送、6月に実験放送開始。本放送は12月1日より http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/comm/94317  BS放送事業者、受信機メーカー、郵政省等で構成する「BSデジタル放送普及 促進連絡会議」は、本放送開始時期を2000年12月1日に決定した他、「本放送 開始後1000日間で受信機を1000万台普及させる」という目標の実現に向け、受 信機が発売される6月をメドに実験放送を開始すると発表した。  九州・沖縄サミットや全国高校野球大会などを、週末や平日の夜間にHDTV( ハイビジョン)で放送するとともに、9〜11月末にはシドニーオリンピックなど の番組を、本放送に準じて試験放送する。  いずれも、現行放送衛星の補完衛星である「BS-3N」を利用する。 ─────────────────────────────────── ○Sバンド利用の衛星デジタルラジオ、放送開始は1年遅れ2002年以降に  http://ne.nikkeibp.co.jp/DTV/2000/000214dab.html  (日経エレクトロニクスより)  衛星を使ったデジタル衛星ラジオ「モバイル放送」の開始時期が、衛星波が 届かない地域におけるギャップ・フィラを使った再送信問題などで、1年程度 遅れて2002年以降になる見通しである。  モバイル放送は、Sバンドを使い自動車などでも受信可能な衛星ラジオ放送 を提供するため、東芝が中心となり、トヨタや富士通、日本テレビなどと設立 、放送開始準備を進めている。ラジオ放送を中心にするが、MPEG-4を使った映 像放送なども計画している。  開始スケジュール以外の事業計画については大きな変更はない模様。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  デジタル放送に関する危惧や懸念については、かわら版誌上でも幾度となく 取り上げ、その代表的な論点をまとめたものとして、ワイアード・ニュースの 記事やコラムをいくつか紹介してきた。  「デジタルテレビを扱いかねている日本」   http://www.hotwired.co.jp/news/news/2517.html  「アメリカのデジタルテレビは瀕死状態(上、下)」   http://www.hotwired.co.jp/news/news/2753.html   http://www.hotwired.co.jp/news/news/2761.html  今回もまた、「デジタル放送の神話と現実」と題した池田信夫氏の論評をご 紹介する。 http://www.hotwired.co.jp/bitliteracy/guest/000208/  ・デジタル化によってテレビは次世代メディアの主流になる  ・次世代のテレビは「高精細度」でなければならない  ・データ放送でテレビはインターネットと融合する という三つの神話を検証、「マルチメディアは失敗の連続であり、このままデ ジタル化を強行すれば、民放の経営破綻は必至」としている。  モバイル放送については、058号で指摘したように「インフラ以前に、コン テンツやサービスを如何に準備・提供できるかを検討すべき」と思う。  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara058.txt ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●キオスク端末の話題から ─────────────────────────────────── ○東芝、駅構内のキオスク端末でコンテンツの配信実験  http://www.toshiba.co.jp/about/press/2000_02/pr_j1601.htm  東芝は、駅構内に設置したキオスク端末に、音楽や映像などのデジタルコン テンツを配信する公開実験を、小田急新宿駅(2月18〜20日)と東急渋谷駅(2月 25〜27日)で実施する。  実験は、私鉄各社の沿線光ファイバー網を相互接続したネットワークを利用 してキオスク端末にコンテンツを配信、小型メモリーカードに記録、携帯プレ ーヤーやノートパソコンで視聴する仕組み。  配信コンテンツは、インプレス、パイオニアLDCの協力によるMP3音楽、TBS の協力によるニュース番組映像、時事通信社の協力による音声ニュースなどが 予定されている。 ─────────────────────────────────── ○JR西日本、「デジタルキヨスク」のコンテンツをネット上で販売  http://www.digitalkiosk.gr.jp/ (デジタルキヨスク)  JR西日本は、昨年実施した駅構内にデジタルコンテンツの自動販売機を設置 する実験「デジタルキヨスク」のコンテンツを、ネット上でオンライン販売す る。雑誌「ぴあ」のグルメ情報や、ゲーム、列車時刻表、雑誌「ダカーポ」の デジタル版など。 ─────────────────────────────────── ○トヨタ、デジキューブと提携。ガズー用新端末を共同開発  http://www.digicube.co.jp/ir/index_n8.html (発表資料)  http://gazoo.com/media/index.asp (GAZOOメディア街)  トヨタは、全国約18,500店舗のコンビニで、ゲームソフトや音楽CDなどを販 売するデジキューブと提携した。  車両情報提供やネット販売などを展開しているトヨタの総合Eコマースサイ ト「GAZOO(ガズー)」に、新たにゲームや音楽CDの販売を追加するとともに、 販売店などに設置されたガズー端末でも、デジキューブのコンテンツ配信サー ビスが利用できるようにする。このための新端末を共同開発、今夏にも設置を 始める。  若者向け商材を持つデジキューブを取り込み、会員数の増加につなげる。 ─────────────────────────────────── ○松下冷機、「無人コンビニ」「サービス自販機」事業に進出  (日経産業新聞2月14,16日付記事より)  松下冷機は、食品や雑誌、電池などの雑貨に加え、公共料金の支払いや、周 辺地図や関連情報の検索など、多様な機能を備えた無人販売システム(自動販 売機)を開発、11月をめどに発売する。新システムを「無人コンビニ」として 位置づけ、高速道路のインターチェンジや駅構内、病院、商業施設などの潜在 需要を開拓する。  また同社は、インターネットを使った音楽や地図などコンテンツ配信サービ ス向けの「サービス自動販売機」を2003年をめどに商品化する。携帯電話の着 信メロディやゲームソフトなどを書き込める自販機市場ができつつあり、更新 需要の一巡などで伸び悩む飲料向け自販機事業を補完する。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  先週もご紹介したように、マイクル事業企画の第二ステージは「(地域情報 拠点としての)キオスク端末」であり、かわら版でも随時取り上げてきた。  054号「コンビニ、駅、郵便局・・・、公衆マルチメディア端末関連の話題     から」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara054.txt  062号「モノからサービスへ、進化する自販機」   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara062.txt  068号「コンビニが牽引する消費者向けEC(電子商取引)事業!」   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara068.txt  076号「セブンイレブン、NEC・野村総研等と共同で、EC関連新事業会社を     設立」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara076.txt  日経ネットビジネスに「三石玲子の辛口EC採点簿」を連載するなど、サイバ ービジネスコンサルタントして高名な三石玲子氏の「私論−コンビニECの行方 を展望する」にコンビニキオスク端末について次ぎのような記述がある。  「巷では、コンビニEC=マルチメディア端末という議論をしている。これは 見当違いだろう。大体“マルチメディア端末”とは何かである。これは過去の EC実験でも散々試されたが、結果は情けないものであった。ローソンにはロッ ピーが置いてあるが、個人的には使用例を目撃したことはない。(略)」  http://www.m-m.co.jp/report/reportB142.html  だから、ハードの企画もやりたいのだが、ビギナーパソコンの教訓もあり、 コンテンツに注力する。(^J^) ********************************************************************** ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メール  マガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登  録メンバーにマイクルより直接配信しています。 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