********************************************************************** ■□■ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ■□■ 第 078号 2000年 1月24日発行 〜総配信数 1,620部(含抄録版) Thanks!〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ インターネット、情報通信、放送関連の話題を、氾濫する情報洪水の中から 厳選、平易かつ簡明に要約・解説してお届けします。 by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 01.CATVの話題から  ・トーメン、NTTデータ等、CATV網によるASPサービスの実証実験開始  ・TCN、CATVインターネットに衛星キャッシュシステム  ・郵政省、端末共通化に向け「日本版ケーブルラボ」構想発表  ・NTT宮津社長、CATV事業への参入意向を表明 02.ネットバブルは株(神)頼み  ・ヤフー株、史上初の1億円台乗せ、その後急落  ・米世帯の約半数が株投資。過去最高の保有率で株依存がくっきり 03.カシオ、リスト情報機器を推進。腕時計型デジカメ・MP3プレーヤー開発 ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●CATVの話題から ─────────────────────────────────── ○トーメン、NTTデータ等、CATV網によるASP(*)サービスの実証実験開始  http://www.tomen.co.jp/release/text.htm (プレスリリース)  トーメン、NTTデータ、カシオ、シティケーブルネット、DDI、凸版印刷、船 井電機7社は、所沢市周辺の一般家庭を対象に、CATV網を利用したアプリケーシ ョンやコンテンツ配信事業の実証実験を2月から開始する。  モニター50名を選出し、一般のテレビでインターネットが利用できるSTB(セ ット・トップ・ボックス)を無料で貸し出し、地域情報や地図情報などのコンテ ンツを配信する。また、CATV網にPHS網を接続、モバイル端末で受信できる無線 サービスも同時に提供する。 (*)ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)  アプリケーションやコンテンツなど、利用者の端末にインストールして使っ ていたソフトをセンターサーバーに蓄積、ネット経由で貸し出すサービス。端 末のメモリー使用量低減、保守メンテナンス不要などのメリットがある。 ─────────────────────────────────── ○TCN、CATVインターネットに衛星キャッシュシステム  http://www.tcn-catv.co.jp/2/2_1_1.html (プレスリリース)  東京ケーブルネットワーク(TCN)は、ダイレクトインターネット(DIC)と共同 で、通信衛星を使った衛星キャッシュサービスの評価実験を開始した。  CATVインターネットは高速なアクセスが特長だが、上位回線の混み具合など により、メリットが十分発揮されない場合がある。  今回の実験は、DICのカリフォルニア州のセンターで、アクセスが多い人気サ イトを自動的に巡回し、キャッシュしたコンテンツを大平洋上の衛星を経由し てTCNのサーバーに随時送り込む仕組みで、上位回線の混み具合に関係なく、高 速・快適なインターネットアクセス環境が構築できる。 ─────────────────────────────────── ○郵政省、端末共通化に向け「日本版ケーブルラボ」構想発表  http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/housou/000117j701.html  (プレスリリース)  郵政省は、デジタルCATV受信機の共通・オープン化を推進するため、関連業 界が集結して研究開発や標準化作業を行う「ケーブルラボ(仮称)」設立構想を 発表した。  北米のCATV事業者が共同で設立、ケーブルモデムや受信機の業界標準の策定 ・認証を行う「CableLabs」の日本版で、北米では機器納入には同社の認証が欠 かせない条件になっている。  現在のCATVは、端末が事業者(納入メーカー)毎に異なり互換性が無く、元々 小さいCATV市場がさらに細分化する要因ともなっている。BSや地上波デジタル 放送などにも対応した低価格端末の開発を促し、利用者の利便性を図る。 ─────────────────────────────────── ○NTT宮津社長、CATV事業への参入意向を表明 http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/gen/92013  (日経BizTech 00/01/19より)  NTTの宮津社長は定例会見で、「これまでCATV事業は、携帯電話やインターネ ットのようには成長しないとみて後回しにしてきたが、日本でも成長する可能 性が出てきた」という認識を示し、「日本には光ファイバ普及という国策があ り、NTTグループは光ファイバの敷設を進めてきたが、これを活用する段階に入 った。日本では光ファイバ化とCATVの普及が並行して進むことになるのではな いか」と語り、さらに、  「CATV事業への参入が、NTTグループとして新しい事業展開の視野に入ってき た。まだ話を詰めていないが、NTT-MEなどが手がけることになるだろう。CATV 事業者への出資も考えられる」と語った。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  先週報じた「AOL、タイムワーナー合併」は、「次世代高速ネットインフラを 巡る主導権争い」としてもとらえることができる。  AOLはこれまで、AT&T・マイクロソフト連合がリードする“CATV”ではなく、 むしろヒューズと提携し“衛星”を指向していた。合併により業界No.2のタイ ムワーナーの1300万世帯のCATVインフラを手に入れることにより、衛星とCATV 双方のアプローチが可能となり、AOLがサービスやコンテンツ面だけでなく、イ ンフラ面でも大きく優位に立つことになる。  かわら版052号「AOL、ヒューズとの提携を強化、衛星でCATVに対抗」参照  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara052.txt  上述の記事のように、我国でもインターネット対応やデジタル放送対応など CATVを巡る動きが活発化しつつある。しかし、業界や市場の実態は、かわら版 049号「誰が日本のCATVを救うのか?」等でしばしば取り上げて来たように、悲 惨な?状況にある。 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara049.txt  日経産業新聞1月21日付記事によれば、郵政主導の「日本版ケーブルラボ」構 想は、「最大市場米国で既にサービスが立ち上がり関連機器市場が急成長して いる現状で、日本独自の標準化にどれだけ経済合理性があるのか」と、独自規 格でサービスを先行させる事業者や、機器メーカーの思惑が複雑に絡み合い、 必ずしも順調とは言えないようだ。  経営体力が弱く事業規模の小さい多くのCATV事業者は、1局当たり10億円強と されるデジタル化投資に対応できなく、NTTの参入は伝送設備の心配をせずに、 地域密着型メディアとして独自の番組制作に注力でき、歓迎であろう。尤も多 くはその能力がなく、所詮淘汰される運命にあるが。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ネットバブルは株(神)頼み ─────────────────────────────────── ○ヤフー株、史上初の1億円台乗せ、その後急落  http://quote.yahoo.co.jp/q?s=4689.q&d=b (Yahoo!ファイナンス)  19日の店頭市場で、検索サービス最大手ヤフーの株式(額面5万円)が、1億140 万円で取り引きされ、史上初の1億円銘柄が誕生した。その後ストップ安まで急 落、終値は200万円安の9740万円の売り気配となった。  同日は、54株の売買が成立。中心は資産に余裕のある個人投資家と見られ、 関係者は「高成長を続ける情報通信銘柄への期待の象徴として、昨年の活況市 場で巨額の利益を得た個人投資家らの投資意欲を刺激した」としている。  同社株が1997年11月に一般公開された際の初値は200万円。わずか2年余りで 50倍まで急上昇した。 ─────────────────────────────────── ○米世帯の約半数が株投資。過去最高の保有率で株依存がくっきり  http://www.watch.impress.co.jp/jijinews/news/2000011915/news6.htm  (JIJI NEWS Watch 00/01/19)  米国で株式投資を行っている世帯が48.8%と、過去最高水準に達していること が、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した1998年家計調査で明らかになった。 株高が家計を豊かにしてきた一方で、市民生活がバブル懸念の強まる株式市場 にますます依存していることも改めて裏付けた格好だ。  95年に40.4%だった株式投資世帯は48.8%に増加、株価上昇を反映して保有株 資産額も平均2万5000ドルに膨らみ、95年比62.3%の急増となっている。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  ヤフーの親会社ソフトバンクの孫社長は「関心があるのは“株式時価総額” のみ」と常々語り、同氏の本質が“事業家”ではなく“虚業家”にあり、同社 や関連企業の“株頼み”を公言している。  日刊ゲンダイ「Dailymail Business 1月21日号」は「市場はいつ暴落するか でヒヤヒヤ。1億円ヤフー株、裏側の危険なカラクリ」と題し「米国でも日本で もバブルといわれるネット株。その相場は落とし穴がいっぱいで、綱渡りのよ うなものだ」と解説している。  「ヤフーの99年3月期の売り上げは19億円、最終利益は1億8000万円。12月ま でに利益を7億円に伸ばすなど、収益の伸びは著しいが、PER(株価収益率)は20 00倍にも達し、時価総額は新日鉄を超えている」  「ヤフー株は親会社のソフトバンクと米ヤフーが2万8000株の85%を押さえて いて、市場に出回る浮動株は1日20株前後と極端に少ない。それを限られた仲間 内でキャッチボールしてつり上げてきたという側面がある」  「浮動株が少ないだけに、米国株式市場の暴落やどこかが見切り売りを始め た途端、一気に暴落してしまう危うさも。ヤフーの社員150人中46人がストック オプションで株を持っているが、売りに出せば一気に株価は急落、売るに売れ ない状況」  それにしても米国の好景気がこれほどまでに、株頼みだとは。(@_@;) 土地“神話”が崩壊し、日本のバブルは弾けた。ネット“神話”の崩壊で米国 のバブルは弾けるのだろうか?。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●カシオ、リスト情報機器を推進。腕時計型デジカメ・MP3プレーヤー開発  http://www.casio.co.jp/productnews/wqv_1_wmp_1v.html (プレスリリース)  カシオ計算機は、腕時計にデジタルカメラと、MP3対応のヘッドホンステレオ を内蔵した「リストカメラ WQV-1」と「リストオーディオプレーヤー WMP-1V」 を世界で初めて開発、3月から順次発売する。  普段は腕時計として使えるほか、静止画像を撮影したり、付属のステレオイ ヤホンを使って音楽を楽しめる。WQV-1は22,000円〜25,000円(5月以降発売)。 WMP-1Vは37,000円(3月末発売)。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  「ウェアラブル」とは、コンピュータなど情報機器をいつでもどこでも使え るように、衣服のように身につけてしまおうということから生まれた言葉であ る。ウェアラブルPC、腕時計型PHS、腕時計型PDA…。かつてスパイ映画やSFア ニメなどで見たような世界が現実のものとなる。行きつく先は究極の「腕時計 型自動翻訳衛星携帯テレビ電話&PDA」   http://www.ibm.co.jp/News/leads/980912/ (IBMのウェアラブルPC)   http://www.hil.ntt.co.jp/Speech/PHS/ (NTTの腕時計型PHS)   http://www.ruputer.com/news/ (SIIの腕時計型PDA)  電卓とデジタル腕時計に始まり、「Gショック」で一世を風靡したカシオ。 同社の商品戦略は「ウェアラブル」を腕時計で実現する「リスト情報機器」。 パソコンとデータのやり取りができる「PCX」や「GPS内蔵ウオッチ」に加え、 今回さらに2製品を投入する。   http://www.casio.co.jp/pcx/ (パソコンリンクウォッチ PCX)   http://www.casio.co.jp/gpsw/ (サテライトナビ)  カシオの99年9月中間期の時計部門の売上高は389億円と、前年同期に比べ44% 近くも減少した。95年にいち早く投入したデジカメも画質競争が進む中、カメ ラメーカーに主導権を奪われ、「カシオペア」などPDAも期待したほどには伸び ていない。リスト情報機器で「Gショック」ブームの再現を狙うが…。 ********************************************************************** ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メール マガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登 録メンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。 wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。 http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無 く転載することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□企画・制作・発行■□ (有)マイクル http://www.micle.co.jp/ 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 **********************************************************************