==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 070号 1999年11月16日発行        〜総配信数 1,620部(含抄録版) Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディアやインターネット、衛星関  連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお届けいたします。       by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan/ ========================================================================== <もくじ> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.海外関連の話題から(米国)  ・米連邦地裁、マイクロソフトの“独占”を認定  ・東芝、米国のパソコン集団訴訟で和解。和解費用は1,100億円  ・米国のネット人口、1億人突破  ・ネットビジネスの普及には“郵便”が不可欠 02.海外関連の話題から(英国他)  ・英BT、EC事業に本格参入。独自のショッピング・サイト開設  ・無料ネット接続会社が、英国No.1のプロバイダーに  ・加シーグラムと米AOL、ネット音楽配信事業に参入 ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- 01.スカパー、年度内に400億円増資。東証新市場に上場も ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●海外関連の話題から(米国) ◆米連邦地裁、マイクロソフトの“独占”を認定  http://www.usdoj.gov/atr/cases/f3800/msjudgex.htm (司法省)  http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases/110699doj.htm(MS日本)  米連邦地裁は、司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反でマイクロソフトを提訴 していた裁判で、司法省の主張をほぼ全面的に認めた。  同社のOS、Windowsが市場の90%に上るシェアを持っている状態を“独占”と認定、 この圧倒的な強みを背景に、ブラウザソフトのシェア拡大を進めたやり方を「ライ バル会社に危害を与えた」と認定した。  今回の事実認定を踏まえ、来年2,3月にも有罪判決が下される可能性が大きく、そ の場合、同社に対し「企業分割」などの罰則が示される模様。  苦しい立場に追い込まれたマイクロソフトは、「ソフト市場における競争と革新 は、消費者に利益をもたらす」と反論しつつも、和解の構えも見せている。 >  皆さんもすでにご存知の話題と思う。PC Watch「後藤弘茂のWeekly海外ニュー > ス」で、経緯と背景、MSの狙い、今後の動向等について詳しく解説している。 > 「Microsoftが反トラスト法裁判で大敗」 >   http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/991108/kaigai01.htm > 「反トラスト法裁判でのMicrosoftの狙いは2000年の大統領選挙か」 >   http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/991109/kaigai01.htm > 「あまりにあまりに裁判下手なMicrosoft」 >   http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/991110/kaigai01.htm ◆東芝、米国のパソコン集団訴訟で和解。和解費用は1,100億円  http://www.toshiba.co.jp/about/press/1999_10/pr_j2902.htm  http://www2.toshiba.co.jp/pc/tfddctr/index_j.htm  東芝は、米国子会社が同社製ノートPCに搭載しているフロッピーディスクコント ローラー(FDC)の一部に不具合が有り、書き込みエラーによりデータを破壊する可能 性があるとして、保証違反などを理由に損害賠償などを求められていた集団訴訟で、 和解を発表した。これに伴う費用1,100億円を特別損失として計上、2000年3月期の 業績見通しを下方修正した。  東芝は、FDCに制約があることは認めていたが、これが原因でデータが破壊される ことはなく、現在までに1件の苦情もないとして争っていた。法的責任については否 定したものの、米国の集団訴訟の場合、巨額の賠償金支払いを命じる判決が下る可 能性も大きく、経営上の判断から和解を選んだとしている。  11月以降の出荷分より対策済みの製品に切り替えるとともに、既存ユーザーには 無償で修正ソフトを提供する。 >  東芝が和解を公表した数日後、コンパックやHPなどPCメーカー各社が類似の訴 > 訟を起こされた。各社は全面的に争う構えで、対応の違いが際立っている。 > 「東芝PCの類似訴訟か−Compaq、HP、PB-NECなど標的に」 >  http://biz11.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf?CID=onair/biztech/print_pc/86105 >  また、「東芝1100億円特損の本当の理由、相手は名うての“訴訟屋”」や、 >  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf?CID=onair/biztech/biz/86372 > 日経産業新聞8日付の「広がる東芝ショック」と題した記事によれば、原告側弁護 > 士は、昨年複数のたばこ会社から145億ドルの和解金を引き出し、80年代にはアス > ベスト訴訟でも巨額報酬を獲得した高額所得弁護士で、クリントン政権への多額 > 献金でも知られる。 > >  先般、米司法省が米国トヨタを相手取り、トヨタが販売した自動車の燃料漏れ > 検知装置に不備があり米国の環境法に違反しているとして、同社に罰金支払い(総 > 額185億ドル)とリコールを求める訴えをワシントン連邦地裁に起こした。トヨタ > は、勝算があるとして全面対決を選択した。 >  和解を選択した東芝の判断の是非は今しばらく時間を待たねばならないが、PC > 業界に限らずグローバル企業各社は、米国での事業展開につきまとう巨大な訴訟 > リスクの大きさを改めて実感しただろう。 ◆米国のネット人口、1億人突破  http://it.nikkei.co.jp/it/soft/softCld.cfm?id=19991111eimi109111  米通信関連調査会社によると、米国のネット人口(99年7月現在)は、97年半ばから 倍増、全人口の36.5%となる1億人を突破した。  女性が占める割合も、97年の9%から44%に大きく伸び、情報検索に加え、買い物や 娯楽の目的に使われるようになった。ただ実際の買い物にはセキュリティーの面で 慎重な見方が多く、ネット上で探した商品を店頭で買うユーザーは43%で、そのまま ネットを通じて買うユーザーよりも約3倍多かった。  パソコンを使わないネット接続も伸びており、今後は携帯情報端末(PDA)や携帯電 話を使う新しいネットユーザーが急増するという。 >  次ぎの記事とも関連するが、私が常々指摘してきた「ネットビジネスの成功に > は、ネットだけで考えるのではなく、既存市場や既存ビジネスと如何にうまく連 > 動するかが肝要」ということに、改めて意を強くした。 ◆ネットビジネスの普及には“郵便”が不可欠  http://www.pitneybowes.com/whats_new/mail_ecomm.asp  http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/ec/column/contents2/mail991111.html  「郵便は急成長するインターネット経済にとって重要な役割を担う」という調査 結果が発表された。郵便物の管理サービスなどを手がける米Pitney Bowes社が、電 子商取引を運営する企業を対象に行ったアンケート調査結果をまとめたもので、回 答者の半数が、取引確認のための書類や請求書など、郵便の量が増えたと答え、う ち59%が大変増えたと答えた。  自社のWWWサイトの宣伝に何を利用するかについては、ダイレクトメールが70%、 インターネット広告が48%、電子メールが57%。同社は「郵便は、認知と販売の価値 あるツール。最も重要なのは顧客との関係を築けること。ネットと結合することで 無敵となる」としている。 >  かわら版033号「米ネット企業、マス広告で知名度アップ」で、顧客と双方向の > 関係を築けることを特長とするネット企業が、既存のマス広告に頼る皮肉な?現 > 状を取り上げた。 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara033.txt >  ウザいだけのバナー広告よりは、封も開かないままごみ箱行きのDMの方がマシ > ということだろう。 ───────────────────────────────────── ●海外関連の話題から(英国他) ◆英BT、EC事業に本格参入。独自のショッピング・サイト開設  http://www.btspree.com/  http://it.nikkei.co.jp/it/soft/softCld.cfm?id=19991110eimi059010  英通信最大手BTは、独自のオンライン・ショッピング・サイトを開設、EC(電子商 取引)事業に本格参入する。  音楽ソフトや衣料、書籍、家庭用品など約200万品目を品ぞろえし、各種メーカー やブランドを一堂に集めたサイトとして、ポータルの地位確立を目指す。タワーレ コードなど英米74社と契約、今後4ヶ月で契約企業数を数百社に増やし、サービス内 容にさらに厚みを持たせる。  同社はネット事業を、デジタル放送やADSLなどブロードバンド(広帯域)通信市場 向け双方向サービスの一環として位置づけており、これらとの連動をはかる。 >  マルチメディアへの道程は、米国はパソコン・インターネットが先行、英国始 > め欧州各国は、放送のデジタル化が先行した。結果欧州では、EC事業もデジタル > 放送(テレビ)をベースに、これにインターネット(パソコン)を結びつけようとい > う傾向が強い。 >  AT&TとマイクロソフトはCATV、AOLは衛星放送、そしてADSLや次世代携帯電話な > ど、ブロードバンド化と通信・放送の融合は米国でも急速に進んでいる。 >  先日来かわら版でも取り上げているように、我国ではNTTのBSデータ放送参入す > ら、異論百出の状況である。彼我の差はあまりに大きい。 ◆無料ネット接続会社が、英国No.1のプロバイダーに  http://www.hotwired.co.jp/altbiz/gq/fujimoto/991109/  全世界で1800万人の利用者を獲得している一人勝ちのAOLが、首位から転落すると いう事態が英国で起こった。無料ネット接続サービス「フリーサーブ」が猛烈な勢 いでシェアをのばし、サービス開始後たった4ヶ月で100万人のユーザーを確保、AOL ヨーロッパを抜いて英国第1位のプロバイダーとなった。  フリーサーブは、パソコンの販売に力を入れている大手家電チェーンの傘下会社 で、通信事業者と共同でサービスを行っている。こうした動きに触発され、現在英 国では約95社が無料接続サービスを提供、BTも端末にドリームキャストを採用する など無料サービスを開始した。 >  上記は、Hotwired Japanサイトに掲載された藤元健太郎氏の「フロントライン > ・チェック〜無料インターネット・サービス」からの要約。 >  ネット時代の“無料”ビジネスを「見込み顧客を大量に囲い込むことがリアル > な世界での“商圏”を確保することにつながり、いい立地の場所に店を構えられ > たと同じ効果がある」とし、「無料サービスを駆使した目に見えない商圏の争奪 > 戦」と解説している。 ◆加シーグラムと米AOL、ネット音楽配信事業に参入  http://it.nikkei.co.jp/it/soft/softCld.cfm?id=19991110eimi079010  傘下に音楽レーベルUMGを持つ加飲料大手のシーグラムと米AOLは、インターネッ トを利用した音楽配信事業に本格参入した。共同で新音楽レーベルを設立、無名ミ ュージシャンなどのプロモーションから販売までネット上で手掛ける。  大手企業は著作権侵害の問題などを理由にネット配信事業への参入をためらって いたが、市場の成長スピードに押し切られた格好だ。  新会社は、12月初めからあらゆる送信方式で音楽作品を受け付ける。来年2月には 新サイトを開設、ミュージシャンとレコード制作担当者が会話をしたり、音楽ファ ンがレコード制作過程を見たりできるようにする。 >  これまでかわら版でも何度も取り上げて来たように、ネット音楽配信ビジネス > への参入がまさに百花繚乱である。 >  046号「CDは時代遅れ?新音楽配信システム続々登場」 >     http://www.micle.co.jp/kawara/kawara046.txt >  064号「ネット対応携帯音楽プレーヤー市場に、大手メーカーも続々参入!」 >     http://www.micle.co.jp/kawara/kawara064.txt >  065号「ドコモ、音楽配信サービスに参入。ソニー、松下、IBMと来春共同実験 >     開始」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara065.txt > >  ネット関連事業には“手当たり次第”唾を付けるソフトバンクも、先週新会社 > 「イーズ・ミュージック(eS! Music)」の設立を発表、来春にもネット音楽配信サ > ービスに参入する。 http://www.softbank.co.jp/sbadmin/news/991111.htm >  最大の特徴は、日本音楽著作権協会(JASRAC)が提唱する著作権保護・管理の枠 > 組みへの準拠。配信料は、CDの在庫、流通などにかかる費用が省け、1曲当たり > 100円程度になる見通しという。 ========================================================================== ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●スカパー、年度内に400億円増資。東証新市場に上場も  スカイパーフェクTVは、経営基盤安定化のため、現在の資本金400億円と同規模の 倍額増資を年度内に実施する。ソニー、伊藤忠、フジテレビ、ソフトバンク、豪ニ ューズなど主要株主は基本的に増資を引き受ける方針で、年内にも引き受け比率な ど詳細を詰める。  また、来年半ばにも東京証券取引所が新設するベンチャー企業向け新市場「マザ ーズ(*)」へ上場する方向で検討を開始した。スカパーが利用する通信衛星を運用す る日本サテライトシステムズ(JSAT)も、同市場への上場を検討中。 (日経産業新聞10月29日、11月12日付記事より) (*)マザーズ  「新興企業市場の創設について」  http://www.tse.or.jp/news/release/article/199909/990921_b.html  「新興企業向け証券市場マザーズが11月11日から施行」  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/1029/mothers.htm >  ディレクも年度内に総額380億円の転換社債を発行するが、その過半は筆頭株主 > の米ヒューズが引き受け、ヒューズの経営責任が一層明確化した。 >  かわら版065号「ディレクTV、総額380億円の転換社債を発行。米ヒューズが過 > 半を負担」参照。 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara065.txt > >  ご存知のように、ソフトバンクは全米証券業協会と組んで、2000年末に新市場 > 「ナスダック・ジャパン」を稼動させる計画。同記事によれば、スカパーが大株 > 主のソフトバンクに背を向ける形でマザーズを選ぼうとしているのは、ナスダッ > クより上場基準が緩やかな上、立ち上げ時期が約1年早いため。 >  身内とも言える企業から見放されるようでは、かわら版052号「“事業家”から > “虚業家”に変貌した?孫正義氏」で指摘したように、やはり大風呂敷は幻に終 > わる?。http://www.micle.co.jp/kawara/kawara052.txt ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メールマ  ガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登録メ  ンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。  wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。  http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無く  転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================