==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 061号 1999年 9月 7日発行        〜総配信数 1,570部(含抄録版) Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディアやインターネット、衛星関  連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお届けいたします。       by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan/ ========================================================================== <もくじ> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.携帯ゲーム機が情報端末に?  ・任天堂、次世代ゲームボーイの概要公開、ソフト開発でコナミと提携  ・バンダイの「ワンダースワン」、ネット接続に加えFM放送受信機能も 02.CATVにも次世代インフラの可能性が?  ・CATV加入、前年比18%増加し800万世帯に  ・デジタル化促進に向け、有線テレビ法改正へ 03.オフィスソフト(ワープロ、表計算等)も無料配布時代に?  ・オフィスソフト無料配布でサンがMSに宣戦  ・サンのオフィスソフト無料配布の動きにMSが反応 04.米国で成長鈍るオンラインバンキング ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- 01.松下電器、メディア横断型双方向サービス事業支援会社設立 02.英ICOも会社更生法申請、衛星携帯電話サービスに黄信号 ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●携帯ゲーム機が情報端末に? ◆任天堂、次世代ゲームボーイの概要公開、ソフト開発でコナミと提携  http://www.nintendo.co.jp/n10/news/990902a.html  http://www.konami.co.jp/press/r.11.09.02.html  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990902/nintendo.htm  任天堂は、2000年8月に発売を予定している次世代携帯ゲーム機「ゲームボーイア ドバンス」の概要を公開した。併せてコナミとの提携を発表、合弁会社「モバイル 21株式会社」を設立する。  専用通信アダプタ(2000年4月発売)で携帯電話・PHSと接続し、インターネットに アクセスできる。チャットをしながら通信対戦ゲームが楽しめ、専用デジタルカメ ラを装着すれば、相手の顔を見ながらゲームができる。  合弁会社は、新ハード用ソフトの開発を行うとともに、松下と共同開発中の次世 代家庭用ゲーム機「ドルフィン(仮称)」のソフト開発も行なう。 ◆バンダイの「ワンダースワン」、ネット接続に加えFM放送受信機能も  http://www.bandai.co.jp/cgi-bin/press2.cgi?serial=50  http://www.bandai.co.jp/cgi-bin/press2.cgi?serial=67  バンダイは、通常のFM放送やFM文字多重放送が受信できるワンダースワン用カー トリッジの開発に着手した。12月末までに開発を終え、NHK情報ネットワーク等と提 携し、ミニFM、微弱電波放送等での実験を開始する。  携帯ゲーム機「ワンダースワン」は 3月の発売以降、既に100万台以上を販売、 年末には、携帯電話・PHSと接続してネットワーク端末として活用できる専用アダプ ター「ワンダーゲート」を発売する。 >  任天堂の山内社長は、「電話のインフラが米国とは違うため、米国で現在流行 > っているネットワークゲームをそのまま日本に持ってきてもジャンルとして立ち > 上がらない。発想を変えなければユーザーを獲得できない。今回の企画は携帯電 > 話の爆発的な普及が前提条件」と、次世代ゲームボーイの開発意欲や、コナミと > の提携の狙いを語った。 > >  また、日経産業新聞9月3日付記事は「デジタル製品進化論、崩れる業種区分」 > と題し以下のように解説した。 >  通信機能を強化した新ゲームボーイは、単なるゲーム機の枠を超え、PDA(携帯 > 情報端末)や電子手帳市場の奪取を狙う。携帯電話や家庭用ゲーム機も、複合機能 > 商品へと進化、これまで競争関係になかったノートパソコンやAV(音響・映像)機 > 器とぶつかりつつある。 >  攻め込まれる側にとって脅威なのは、ゲームとケータイが既に広く普及してい > ること。ゲームボーイは世界で約8000万台を販売、プレイステーションの累計出 > 荷台数も6000万台に到達、携帯/PHSの国内累計加入台数も5000万台を突破した。 >  分厚い顧客層は一瞬にして新市場を創出する母体となり、ゲームボーイの既存 > ユーザーの1割が次世代機に乗り換えるだけで、800万台のPDA市場が新たに生まれ > る。(98年のPDA市場は世界で約400万台) >  さらに量販効果で価格は急激に低下、プレステは国内では15000円、海外では99 > ドルで売られ、ゲームボーイも3800〜6800円。大ヒットしたとは言えドコモのポ > ケットボードは1万円以上する。 >  崩れる境界線・・・、垣根を超えるデジタル機器の進化は、企業の競争相手を > 変え、従来型の業種区分を無意味にしようとしている。 > >  山内社長の発言も、上記記事も肯ける面はある。しかし、マイクルには違和感 > も強い。従前から指摘しているように、現状は、デジタル技術の進化にユーザー > (市場)ニーズが追いついていない。特に根強いアナログ文化を持つ我国は、乖離 > が広がるばかりである。 >  当分はコンバージョン(融合)ではなく、コンプリメント(補完)関係が続くので > あり、ゲーム機本来の機能や、携帯電話本来の機能を疎かにすれば、必ずや市場 > から手痛いしっぺ返しを受けるであろう。 ───────────────────────────────────── ●CATVにも次世代インフラの可能性が? ◆CATV加入、前年比18%増加し800万世帯に  http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/housou/990830j701.html  郵政省の発表によれば、自主放送を行うケーブルテレビ(CATV)の加入数が今年3月 末で、前年同期比18.1%増の794万世帯となった。世帯普及率は2.4%増の17.2%。地上 波テレビの再送信を行う難視聴対策用施設を含めた総加入数は1,582万世帯。  インターネット接続サービスを行うCATV会社は73社に増え、CATVインターネット 加入世帯は7月末時点で76,000世帯と、昨年11月調査に比べ3.6倍に急増した。 ◆デジタル化促進に向け、有線テレビ法改正へ  郵政省は、CATVのデジタル化促進のため、有線テレビジョン放送法の改正方針を 明らかにした。経営基盤の弱いCATV事業者の投資負担軽減のため、新たに番組送信 だけを手がける事業免許を創設、通信会社などのCATV事業参入を可能とする。  これまでは、番組制作・編成と番組送信の両方を一社で手がける「ハード・ソフ ト一致」を原則としていたが、CSデジタル放送のようにインフラ事業者とチャンネ ル運営事業者双方を認める。放送事業への参入が認められていないNTTについても子 会社などを通じた参入解禁を示唆した。(日経産業新聞8月31日付記事より) >  かわら版049号「誰が日本のCATVを救うのか?」、058号「家庭向け高速インタ > ーネットの話題から」でCATV業界の現状と動向、そして高速インターネットイン > フラとしてのCATVの可能性について解説した。 >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara049.txt >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara058.txt > >  ご存知のように、これまで私は、次世代マルチメディアインフラとして、CATV > より衛星の可能性を高く評価してきた。しかし、最近はいささか軌道修正せねば > と思っている。 >  普及にはコストはもちろん、安定性と信頼性が不可欠である。衛星インフラの > 将来性には疑念はないが、ブレイクは予想よりも遅れそうである。で、CATVに期 > 待するわけだが、諸課題山積の現状では、ことらも楽観視できそうにない。 ───────────────────────────────────── ●オフィスソフト(ワープロ、表計算等)も無料配布時代に? ◆オフィスソフト無料配布でサンがMSに宣戦  http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9908/sunflash.990831.2.html  http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9908/sunflash.990831.1.html  http://www.hotwired.co.jp/news/news/3009.html  米サン・マイクロシステムズは、オフィスソフト(ワープロ、表計算ソフトなど) のインターネット版無料提供を発表した。ネット上で動くオフィスソフトの開発メ ーカー独スター・ディビジョン社買収にともなうもの。  これにより、多くのアプリケーションやデータがネット上に置かれるようになり、 電子メールサービスのように、インターネットサービスプロバイダー(ISP)がそれら を管理するようになる可能性がある。  サンの決断がソフトウェア業界に激震を引き起こすきっかけとなり、マイクロソ フトの支配を突き崩すかもしれない。 ◆サンのオフィスソフト無料配布の動きにMSが反応  http://www.hotwired.co.jp/news/news/3016.html  上記発表から2日後、マイクロソフトのスティーブ・バルマー社長は、記者会見で 同社も同様の戦略を検討していると述べた。製品内容や提供時期の詳細は明らかに しなかったが、現行の「オフィス」シリーズに基づくものになるだろうと語った。 >  またもや、宿敵同士の争いが勃発。オフィスソフト無料配布の具体的なメリッ > トは今一つ解りかねるが、いずれにせよブラウザーのようになれば、嬉しいに違 > いない。期待しよう! ───────────────────────────────────── ●米国で成長鈍るオンラインバンキング  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990831/pcdata24.htm  (後藤貴子の データで読む米国パソコン事情 より)  米調査会社Cyber Dialogueによれば、オンラインバンキング利用者は過去1年で10 万人増えて630万人に達したが、310万人が利用をやめた。もう一度試す気があると いう人はやめた人のうち35%だけ。やめた理由は、サービスが複雑で顧客サービスの レベルも不満足だからという。  同時に調査したオンライン株取引は、やめた人は3%のみで、85%は満足している。 結果、オンライントレーダーは53%成長し610万人に達した。手数料を通常取引より ぐっと低く設定しているサイトが多く、メリットがはっきりしているからだ。  オンラインバンキングは、将来的に手数料が発生する様々なサービスにつなげら れるうまみがあるため、銀行はどこも力を入れており、別の調査では、米国の利用 世帯は5年後には2,400万世帯に増加するという予測も出ている。  しかし、この不人気ぶりを見ると、テイクオフせずに終わってしまう可能性も。 >  この記事を読み、かわら版051号「インターネット利用者、男性30〜40歳代の落 > ち込みが顕著に」を思い出した。http://www.micle.co.jp/kawara/kawara051.txt >  我国でインターネットやパソコン通信を1ヶ月以内に利用した人は1260万人で、 > 昨年9月の1410万人より減少した。また「利用したことはあるが中止した、もしく > は1ヶ月以内に利用していない」人が690万人にも上り、経験者のうち実に約1/3が > 利用を止めている。 >  華やかなりしオンラインバンキング(*)ではあるが、やはり普及の決め手は使い > 勝手と具体的メリットである。私もシティバンクのサービスを利用しているが(円 > 高に首を絞められている一人です)、使い勝手は良いとは言えない。尤も我国では > ネット環境の整備の方が先決ではあるが。 > > (*)日経BP「Find'X」インターネット・バンキング 参照 >  http://findx.nikkeibp.co.jp/epayment_banking_1.html ========================================================================== ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●松下電器、メディア横断型双方向サービス事業支援会社設立  http://www.panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn990827-1/  jn990827-1.html  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/comm/80310  松下電器は、デジタルコンテンツの企画・制作や、配信・課金・情報管理など業 務支援サービスを提供する「パナソニック デジタル ネットワークサーブ(PDN)」を 設立する。松下が100%出資、資本金は4億円。5年後の売上見込みは50億円。  PDNは、2000年末のBSデジタル・データ放送開始に照準を合わせ、映像とデータ同 時放送による、双方向サービスに焦点をあてつつ、将来の移動体通信、インターネ ットなどを含めたメディア横断型複合サービスも視野に入れ、放送局や通信会社、 コンテンツ・サービス会社と共に、新しいビジネスの仕組みを構築する。  また、インターネットサービス「Panasonic Hi-HO」も活用、課金・顧客情報管理 や、フィードバック業務もサポートする。 >  新会社設立のキーポイントは、“コンテンツ”と“BS”。 >  発表資料は「当社の先進デジタル技術・映像技術を活用して、コンテンツ・サ > ービスの制作から、その配信サポート、また顧客情報の管理・フィードバックま > でを含む双方向サービス事業を総合的に行う」「新会社PDNは、特に2000年から始 > まるBSデジタル放送におけるデジタル映像とデータ同時放送による、双方向サー > ビスに焦点をあてつつ」と“コンテンツ”と“BS”に焦点を当てている。 >  狙いはいずれもライバル、ソニー。CSで先行するソニーに対し、遅れているコ > ンテンツ分野を強化し、BSで巻き返しを図る戦略に他ならない。 ───────────────────────────────────── ●英ICOも会社更生法申請、衛星携帯電話サービスに黄信号  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc904.html  http://www.ico.co.uk/press/releases/199908/990827.htm  http://www.spj.co.jp/(日本衛星電話、情報未掲載)  衛星携帯電話会社、英ICOグローバル・コミュニケーションズは、株価低迷による 資金調達の失敗などから、8月27日米国連邦破産裁判所に日本の会社更生法に当たる 「チャプタ11」を申請した。  120日以内に再建計画を提出し債権者の判断を仰ぐ。国内のICO事業会社、日本衛 星電話と同社筆頭株主KDDは、再建に最大限協力していく意向。NECや三菱電機も、 ICOから地球局設備や携帯電話端末の製造を受注している。  既にイリジウムが8月13日にチャプタ11を申請、わずか2週間でICOも申請に追い込 まれたのは、衛星携帯電話事業の市場性や将来性に、投資家や株式市場が疑念を持 ち始めた結果と見られる。 >  先々週「米イリジウム、更生法適用を申請。DDIの経営にも影響か?」を取り上 > げ、同時に「英衛星携帯電話ICO、サービス開始を延期」を取り上げた。 >   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara059.txt >  如何にマイクルでも、ここまでは読めない。 ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メールマ  ガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登録メ  ンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。  wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。  http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無く  転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================