==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 053号 1999年 7月 6日発行        〜総配信数 1,500部(含抄録版) Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディアやインターネット、衛星関  連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお届けいたします。       by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan/ ========================================================================== <<もくじ>> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.新生NTTスタート!  ・定額制、値下げ、身内との競合・・、多難な東西地域通信会社  ・待望のISDN定額サービスは、料金、提供地域とも中途半端  ・グループ内競争挑むドコモ、PHSで固定電話に進出  ・NCCは甘えを捨てるべし、巨人と勝負するには2グループに集結せよ 02.98年の携帯情報端末国内出荷台数は、前年比124%の142万台 03.98年のカーナビ国内出荷台数は、前年比115%の124万台 04.98年度のデジカメ総出荷台数(国内+輸出)は、前年比136%の319万台 ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- 01.日立、自動車向けデジタル衛星放送事業化へ 02.スカイパーフェクTV、通信事業に本格参入 ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●新生NTTスタート!  http://www.ntt.co.jp/vision/ (新生NTTについて)  http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/hsia/ntt/ (特集 NTT再編成) >  持ち株会社の下、東西地域会社と長距離国際会社の3社に分割・再編したNTTの > 新体制が1日スタートした。95年のドコモの分離を経て、85年の通信自由化以降、 > ほぼ15年間に渡る懸案事項にようやく目処がついたわけだが、この間に費やされ > た多くの無駄な時間や議論の代償はあまりに大きい。 >  85年NTTは民営化され、地域、長距離、国際、そして移動体分野にNCC(新規通信 > 事業)各社が参入した。一応の競争環境がもたらされ、通信料金は大幅に低下した > とは言うものの、足回りの市内電話事業を独占したまま、強大なブランド力と資 > 金力で大量のマス広告を展開、NTTファミリーと呼ばれるメーカー各社を傘下に、 > 圧倒的な技術力で新商品・新サービスを逸早く投入するNTT。対するNCCは料金値 > 下げ以外に有効な対抗策を打ち出し得ず、郵政の庇護下に安住、ドミナント(支配 > )状況の打破は望むべくもなかった。 >  そして、欧米に比べ10年は遅れていると言われた状況は不変のまま、その後の > インターネットに代表される新たなマルチメディア革命の進展の中で、彼我の情 > 報通信格差はますます開くばかりとなったのである。 >  今回は、かわら版発行の主旨にもあるように、新生NTTに関する膨大な情報洪水 > の中から、当面の課題や問題点について、厳選した話題をいくつか取り上げる。 >  ポイントは以下の4点。 >  ・急伸するデータ通信市場への対応(インターネット定額制導入など) >  ・多難な地域通信会社(東西格差、固定電話離れなど) >  ・グループ会社間の競合(NTT-Cやドコモの市内通信参入など) >  ・NCCへの影響(強まる再編圧力など) >  なお、平易かつ簡明な解説はまたの機会に。(^J^) ◆定額制、値下げ、身内との競合・・、多難な東西地域通信会社  http://www.ntt-east.co.jp/ (NTT東日本)  http://www.ntt-west.co.jp/ (NTT西日本)  http://www.ntt-c.co.jp/ (NTTコミュニケーションズ)  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc802.html  新生NTTで最も前途多難なのが東西の地域会社。定額制導入や値下げ、コスト削減 といった課題のみで、将来への明るい展望は聞かれない。定額制が進めば、通信量 が増えても収入は頭打ちとなり、新規事業として期待する放送分野も、実績はまだ ほとんどない。  98年度の営業部門別損益は、東日本は1635億円の黒字(経常利益ベース)だが、西 日本は682億円の赤字。今秋、NTTコミュニケーションズ(NTT-C)が、NCC各社への対 抗上予定している中距離(20〜100km)通話料値下げに、地域会社も追随せざるを得な い。大赤字の西日本が、NTT-Cや東日本と足並みを揃えるのは無理があるが、値下げ しなければ各社の料金がばらばらになってしまう。  さらに頭が痛いのが、市内通信を巡るグループ間の競合。NTT-Cは自前のアクセス 回線を持たねばライバルに太刀打ちできないと、独自の市内網進出意欲を表明した が、持ち株会社は光ファイバを断念し、無線だけに限定するよう求めたという。 ◆待望のISDN定額サービスは、料金、提供地域とも中途半端  http://www.ntt.co.jp/news/news99/9907/990701.html  http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/top/editor/backnum/99/1h/990702.html  NTTは、インターネット向け定額制サービスを、年内にも導入する。東京と大阪の 一部地域限定の試験サービスで、ISDNの1チャネルをネット専用に月額1万円程度で 提供する模様。  定額の対象はINS通信料相当で、基本料やもう1本の通話料金などは従来通り。単 純計算では、月50時間以上インターネットを利用すれば十分元が取れる。  ネット接続には、定額料の他別途プロバイダーへの接続料が必要で、OCNに月額1 万円程度の新しい接続料を設定する。定額料と合わせ、総費用は2万数千円程度とな る模様で、OCNエコノミーの常時接続サービス(最大128kbps、月額3万8千円)に比べ かなり割安となる。  定額制導入に伴い、プロバイダーも現在の3,000〜5,000円のダイアルアップ定額 接続料金の見直しや、常時接続に耐え得る設備の増強が必要となり、3500社も乱立 したプロバイダー各社の淘汰再編が一気に進む可能性がある。 ◆グループ内競争挑むドコモ、PHSで固定電話に進出  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc737.html  NTTドコモは、不振が続くPHS事業立て直しのため、来年初めにもPHSを使った固定 電話サービスを始める。現在「ODS(on demand station)」と呼ぶボックス型端末と、 屋外でPHSとしても利用できる携帯型ODSを開発中で、NTT本体の電話/ISDNサービス と真っ正面から競合する。  電話局と家庭を結ぶ銅線ケーブルを、PHS無線に置き換えるような仕組みで、ODS はコードレス電話機とISDNルーターの機能を併せ持ったようなものとなり、複数の パソコンやプリンタなどを結ぶ簡易な無線LANの構築もできる。  月額基本料は、複数端末を接続してもPHS1台分ですむが、通信料金は通常のPHS料 金が適用されるため、市内通話なら3分40円と割高になる。  固定電話の加入数は、携帯電話・PHSにユーザーを奪われ、98年度から減少し始め ており、ドコモの進出で無線と有線の競争がいっそう激化しそうだ。 ◆NCCは甘えを捨てるべし、巨人と勝負するには2グループに集結せよ  http://www2.nikkeibp.co.jp/NB/990628/html/1.html  新生NTTは市内、長距離、国際、移動体、そしてシステム構築、さらには放送分野 と、進出できそうな市場を一手に掌握しようと目論んでいる。このまま放置すれば、 手のつけようもない巨艦となり、もはや料金の低廉化や多様なサービスは望めない。  NTTよりわずかに安い通信サービスで成長したNCCだが、データ通信の競争は電話 ほど単純ではない。独走を排し、自ら生き残るためにも、合併もしくは資本提携な ど、きちんとした陣営の絵を完成させる時期が迫っている。  NTTと伍して行くには、一定以上の規模が必要だ。次世代携帯電話サービスを契機 に、トヨタ(IDO)&KDD&DDI(セルラー)のグループと、日本テレコムを中核に、デジタ ルホン、ツーカー(日産)と米AT&T、英BTを組み込んだグループの2つに集約、NTTと 十分戦える体制を早期に整える必要がある。(日経ビジネス6月28日号より) ───────────────────────────────────── ●98年の携帯情報端末国内出荷台数は、前年比124%の142万台   http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/062899Apr.html  情報産業専門調査会社IDC Japanによれば、昨年の国内の携帯情報端末出荷台数は 前年比24.3%増の142万台。今後も年40%以上の高成長を続け、2003年には1000万台近 くに達すると予測している。  同社では携帯情報端末(スマートハンドヘルドデバイス)を、PDAやWindows CE機な どの「ハンドヘルドコンパニオン(16.4%増、76.5万台)」、メールやインターネット 機能を持つ携帯・PHS内蔵型「スマートフォン(86.3%増、32.3万台)」、特殊用途向 け業務用機器「バーティカルアプリケーションデバイス(6.3%増、33.1万台)」に分 類している。  <国内ハンドヘルドコンパニオン、ベンダー別シェア>        98年 97年    出荷台数 シェア 出荷台数 シェア  シャープ 322,900 42.2% 450,000 68.4%  カシオ 141,400 18.5% 39,000 5.9%  NEC 91,950 12.0% 45,000 6.8%  NTT DoCoMo 54,800 7.2% 23,500 3.6%  日立 52,900 6.9% 17,000 2.6%  その他 101,650 13.3% 83,000 12.6%  合計 765,600 100.0% 657,500 100.0% >  小型軽量のモバイル用携帯情報端末を総称して一般にPDA(Pearsonal Digital > Assistants 個人用情報管理ツール)と呼ぶ。キーボードを省くことで小型化を追 > 求し片手操作を可能にしたタイプと、ノートパソコンをそのまま小型化したキー > ボード付タイプとに大別され、個人生活に密着して活用し得るようデザインされ > た、個性的な製品が数多く発売されている。 >  以下に、参考サイトを幾つかご紹介する。 > > <モバイル総合サイト、新製品ニュース・リンク集など> > ・日経BP Find'X PDA >  http://findx.nikkeibp.co.jp/pda_0.html > ・携帯とモバイルの楽園 モバイルサーフ >  http://www.mobilesurf.ne.jp/start.htm > ・PDA/Mobile PCの部屋 >  http://www.kinet.or.jp/takaki/html/mobile/index.html > <最近の商品・業界動向など> > ・法林岳之のTelecom Watch〜次世代携帯電話とPHS他 >  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990407/telw25.htm > ・法林岳之のTelecom Watch〜Windows CEマシンの製品ラッシュ他 >  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990625/telw27.htm > ・PC EXPOレポート〜モバイル端末ではPalmシリーズに人気集中 >  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990625/pcexpo06.htm ───────────────────────────────────── ●98年のカーナビ国内出荷台数は、前年比115%の124万台  日経マーケット・アクセスによれば、昨年のカーナビの国内出荷台数は、対前年 比14.5%増の124.2万台。上期が54.5万台、下期が69.7万台で、下期は自動車の国内 販売台数の前年割れで、純正品(*1)市場は6.1%増の36.7万台と伸び悩んだが、市販 品(*2)市場は21.8%増の33万台と好調。  新車装着率は前年から3ポイント増え12.0%。300万円以上の高級車の搭載率は約7 割と高いが、実売100万円台の大衆車は2〜3%にとどまる。  メーカ別では、アイシンAWがトヨタへの純正品供給など約28万台で、全体の22%を 占め独走体制。市販品トップの松下通信工業、パイオニアが続き両社で市販品の41% を占めた。アルパインとクラリオンも両社に迫り4社がほぼ一線に並んだ。  *1 自動車の生産ラインでの装着分と、系列ディーラーでのオプション販売分  *2 自動車部品販売店や家電量販店などでの、個人購入による後付け分 >  96年80万、97年110万、そして昨年は124万台と急速に普及したカーナビ。乗用 > 車新車販売に占める装着率も1割を超えた。 >  かわら版019号「急成長カーナビも自動車国内販売低迷で、市場拡大にブレーキ > 」で伸びの鈍化を取り上げ、025号「カーナビ商品戦略の変更必至?“安全”そし > て“廉価”へ」で、運輸省の運転中の危険性公表と、基本機能に絞った低価格カ > ーナビ増産の話題を取り上げた。 >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara019.txt >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara025.txt >  私は常々、全車に標準装備できるような機能を絞った廉価版のカーナビこそ、 > 本命商品だと思っている。いずれ企画にチャレンジしてみたい。 ───────────────────────────────────── ●98年度のデジカメ総出荷台数(国内+輸出)は、前年比136%の319万台  http://www.jeida.or.jp/toukei/dsc/h10/nenkan/index.html  日本電子工業振興協会によれば、昨年度の我国のデジタルカメラ総出荷台数(国内 +輸出)は318.7万台(対前年比136%)、金額で1,489億円(同178%)。国内は118.9万台 (同107%)、517億円(同156%)。輸出は199.8万台(同163%)、973億円(同193%)。  カメラの高画素化および高機能化で単価が上昇したと推定している。 >  デジカメ出荷台数は、96年度67万(国内41万、輸出27万)、97年度210万(国内109 > 万、輸出101万)、そして昨年度は300万台を超え、輸出が国内を上回った。 >  かわら版035号「高画質化進むデジカメ市場、200万画素時代に突入」、038号 > 「デジカメ普及へハードル。画質にこだわりニーズつかめず」で取り上げたよう > に、国内市場の伸びは鈍化、20社に上る参入メーカーの、生き残りをかけた技術 > 開競争と販売競争が激化している。 >  デジカメ関連情報は、日経BP社Find'X「デジタルカメラ」が詳しい。 >  http://findx.nikkeibp.co.jp/digitalcamera_0.html ========================================================================== ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●日立、自動車向けデジタル衛星放送事業化へ  日立製作所は、走行中の自動車などを対象に、画像や音楽、電子データなどを配 信するデジタル衛星放送サービスの事業化に向け、トヨタ、松下など複数の企業と 協議を進めていることを明らかにした。  2002年のサービス開始を見込み、新たに衛星3基を打ち上げる。従来の静止衛星方 式とは異なり、地球の回りを「長だ円軌道」で周回、高緯度上空から放送するため、 ビルの谷間や山道などでも鮮明に受信できるという。  今月中にも事業化を前提とした準備組織を設立する方針で、総投資額は10年間で 1000億円規模に達するとみられる。同様の移動体向け衛星放送会社としては、トヨ タや東芝、富士通、松下などが出資する「モバイル放送」が既に事業化を進めてお り、使用可能な衛星波の周波数帯が限定されるため、両事業間の調整が必要になる とみられる。(時事通信より) >  先々週かわら版051号「米フォード、衛星を使った移動体向けデジタルラジオ事 > 業展開へ」で取り上げたが、米国でもGM、フォードが同サービスを計画中。 >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara051.txt >  さて、衛星事業への家電メーカーの関わりを、いささか乱暴に捉えてみると、 > CSはソニー、BSは松下が主導権を握りつつある。CS、BSで出遅れた東芝、日立が > 移動体向けで巻き返しを図ろうという構図が見えてくる。 >  本来なら、日立の相手としては真っ先に日産があがり、トヨタ陣営と対抗する > というのがこれまでの業界の慣例。今回は何故か日産でなくトヨタが相手として > 報じられている。日産には宇宙事業部がある?ように、衛星分野の技術やノウハ > ウはトヨタより数段勝っているはずである。にもかかわらずトヨタということは、 > 日産の力がそれほどまでに、低下したということであろうか。 ───────────────────────────────────── ●スカイパーフェクTV、通信事業に本格参入  日本デジタル放送サービス(スカイパーフェクTV)は、11月をめどに通信事業へ参 入する。衛星放送用受信機を使い、企業の拠点などに映像を配信する。現有設備を 有効活用して割安なサービスを提供する考えで、全国に多くの拠点や営業要員を持 つコンビニや家電店、生命保険、化粧品販売会社などに売り込む。  政府が97年末に規制を緩和して以来、事実上、放送と通信の垣根を超える初の事 業となる。(日経産業新聞6月29日付記事より) >  郵政省のガイドラインでは「公衆に直接受信させる」のが“放送”で、「送信 > 者と受信者が一定の強い結びつきがある限定したサービス」を“通信”と言うら > しい。いずれにせよ急速な技術革新の中で、今後も通信と放送を融合した新サー > ビスが相次ぐのは必至。未だ1950年に施行された放送法を引きずっているようで > は、多少の規制緩和など、くその役にも立ちっこない。 ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メールマ  ガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登録メ  ンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。  wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。  http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無く  転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================