==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 025号 1998年 12月 8日発行 by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/mura.htm ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディア(テレビ*パソコン*電話)  とサテライト(衛星)関連のニュースやトピックスを、毎週平易かつ簡明に解説  してお届けいたします。 ========================================================================== <<もくじ>> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.我が国にもネット新車販売時代到来?「Yahoo! 自動車」開始 02.ソニーのデジタル家電戦略加速!米CATV用機器大手GI社と提携 03.東芝と富士通、次世代メモリー分野で包括提携 04.カーナビ商品戦略の変更必至?「安全」そして「廉価」へ  ・運輸省、運転中の危険性を指摘、取り付け位置の指導も  ・クラリオン、ソニー低価格カーナビ増産 ---◆最近のサテライトニュースから◆--- 01.スカパー、ディレク加入者伸び悩み 02.移動体向け衛星放送「モバイル放送」、出資企業33社に ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●我が国にもネット新車販売時代到来?「Yahoo! 自動車」開始  http://autos.yahoo.co.jp/  http://www.netage.co.jp/  国内最大のアクセス数を誇るYahoo! JAPANは、(株)ネットエイジと提携、自動車 情報コンテンツ「Yahoo! 自動車」を1日オープン。国内で販売されている全乗用車 (約400車種、3300グレード)の情報が、メーカー、タイプ・価格帯別に得られる。  来年1月には新車オンライン見積もり照会サービス「NetDealers(ネットディーラ ーズ)」を開始、参加販売店の申し込みを受け付け中。 >  ここ数年、米国の新車販売業界は激変しつつある。 >  複数の販売チャンネルと大量セールスマンを競わせる、販売奨励金と値引き頼 > りの販売方法は、市場の飽和とともに高コストで時代後れとなり、あらゆるメー > カーのクルマを一同に展示する「オートモール」を設置した「メガディーラー」 > が急速に力を伸ばしている。 >  そして、インターネットを使った新車販売が急速に拡大。オートバイテル・ド > ット・コム(http://www.autobytel.com/)は創業わずか3年で年間150万台と、市 > 場の10分の1以上を占める新車を販売した。ある調査機関の予測では、2000年には > 全新車販売の半分がインターネット経由になるという。 >  かつて我国の流通業界は「暗黒大陸」と呼ばれ、近代化の最も遅れた業界であ > った。スーパーマーケットに始まり、ショッピングセンター、ディスカウントス > トア、家電量販店、コンビニ・・・新勢力が台頭、旧勢力は淘汰されつつある。 >  自動車業界もオートバックスに代表される部品・用品販売や、買い取り専門店 > や、オークションなど中古車、そして車検制度改正でサービス・整備分野も改革 > が進みつつある。取り残されたのが新車分野。メーカーもインターネット販売に > 手を染めたりあれこれ模索しているが、遅々として改革は進まない。 >  オートバイテルを我国にも!と始めた「Yahoo! 自動車」のレベルも低い。 > 先週開始早々にトラブル?でサービス停止(現在は復旧)。情報やサービス内容な > ど、あまりにクルマや業界を知らなさすぎる。これじゃうまく行きっこない。! ───────────────────────────────────── ●ソニーのデジタル家電戦略加速!米CATV用機器大手GI社と提携  http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199812/98-1202/index.html  GI(ゼネラル・インスツルメント)とソニーは、デジタル家電分野で提携すること で最終合意。ソニーのデジタル家電用OS「Aperios(アぺリオス)」と他の家電機器を コントロールするソフト「ホームネットワークモジュール」を、GI製次世代CATV用 STB(セット・トップ・ボックス)に搭載する。  同時に両社は、1月に合意していたソニー・コーポレーション・オブ・アメリカが GIの新規発行株750万株を、総額1億8750万ドルで取得することを確認した。 >  かわら版022号で「松下のデジタル家電戦略本格化?コンパックとパソコン用地 > 上波デジタルTV受信装置を共同開発、WebTV新サービス用受信端末発売」を報じた。 >  http://www.micle.co.jp/kawara022.txt >  今回はライバルソニー。GIはCATV用受信端末で60%のシェアを持つ最大手。1月 > にGIと基本合意、4月にマイクロソフトと提携する一方、6月に大手CATV局TCI(テ > レ・コミュニケーションズ)とアぺリオスの採用などで提携した。ソニーがマイク > ロソフトのデジタル家電用OSウィンドウズCEではなく、自社製OSアぺリオスの積 > 極的拡販を図っていることに、マイクロソフトや松下は警戒感を強めている。 >  川上の放送から川下の受信端末、そして音楽や映像などコンテンツ分野まです > べて押さえようとするソニー。米大手映画会社MCAの経営権を手放して以降ハード > 中心路線を歩む松下。どちらが有利かは未だ見えない。 ───────────────────────────────────── ●東芝と富士通、次世代メモリー分野で包括提携  http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/news/1998/Dec/3.html  http://www.toshiba.co.jp/about/press/1998_12/pr_j0301.htm  記憶容量1GビットのDRAM(*)の量産製造技術の共同開発で包括的に提携。東芝の横 浜の研究開発拠点に両社の技術者約100人を集めて、共同開発作業を進める。  開発費用は300億円以上を見込んでおり、この費用を両社が折半することで、費用 負担の半減を狙う。 (*)DRAM(ダイナミックラム) パソコンのメインメモリーなどに使われる、記録内容を自由に書き込んだり読み出 しできる記憶装置。RAMはランダム・アクセス・メモリーの略。 読み出し専用がROM(リード・オンリー・メモリー)。 >  4日付日経産業新聞は「日本連合に世界の壁、DRAM統合でもシェアなお1割、地 > 盤沈下を象徴、全体統合カギ」という見出しで、1面トップで報じた。 >  日本の半導体産業は、CPUなどDRAM以外の分野ではすでに完全に欧米メーカーに > 押さえ込まれている。DRAM市場も韓国のサムスン、NEC、米マイクロンが3強で、 > 寡占化が進み始めている。東芝は90年代初めまではトップに君臨していたが、昨 > 年には8位まで転落。富士通も10位以下。 >  96年からのメモリー市況の暴落で、両社の98年度の半導体事業は連結ベースで > それぞれ3OO億円、500億円程度の営業赤字となる見通し。この提携は即効薬とし > て期待できるが、両社を合わせてもシェアは10%程度で、規模が決めてのDRAM市場 > では苦戦は必至。一方、両社の半導体事業全体の売り上げは約1兆3000億円で、世 > 界第2位の規模。メモリー分野のみの提携にとどまれば弱者連合に終わりかねず、 > 危機の突破にはさらに思い切った手立て(全面提携)が必要とのこと。 ───────────────────────────────────── ●カーナビ商品戦略の変更必至?「安全」そして「廉価」へ ・運輸省、運転中の危険性を指摘、取り付け位置の指導も  http://www.motnet.go.jp/KOHO98/CARNAVI_.htm  先月運輸省は「カーナビでわき見事故を起こさないためのご注意!」を公表、安 全運転に役立つ使用上の注意事項をまとめるとともに、メーカー等にも従来の対策 内容を見直すよう要請する。主な内容は、  カーナビ操作中又は注視中「危ない」と感じたことのある運転者は3割。  画面の注視時間は、危険な状態にならないためには1秒以内が望ましい。  表示装置は、ダッシュボードのセンターパネル上部付近の取付が望ましい。 ・クラリオン、ソニー低価格カーナビ増産  http://www.addzest.com/navigation/navi5/s-navi/s-navi1.html  http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199808/98-075/index.html  1日付日経産業新聞によれば、クラリオンは11月に発売した最廉価版の「Sナビ」 (液晶画面付で標準価格135,000円)の年間生産台数を、当初計画より3割上方修正し 6万台に。基本機能に絞り操作性を高めたことがユーザーの指示を集めた。  同4日付によれば、ソニーは10月に発売した低価格の「NVX-W1」(液晶画面無しで 100,000円)を当初計画の2倍の月産6千台に増産。今春発売の高額機種が伸び悩んだ ため、低価格製品の投入で販売の回復を目指す。 >  年間出荷台数が100万台を超え、乗用車新車販売に占める装着率も10%を超える > など急速に普及したカーナビ。かわら版019号では「急成長カーナビも自動車国内 > 販売低迷で、市場拡大にブレーキ」と題し、伸びの鈍化を取り上げた。 >  http://www.micle.co.jp/kawara019.txt >  さて、携帯電話と同様、カーナビの危険性も以前から指摘されていた。警察庁 > が公表した今年度上半期のカーナビ使用中の交通事故は59件だが、これは氷山の > 一角。事故後に「カーナビを見ていた」と言えば脇見運転の過失を認めたことに > なり、保険査定で不利になるからである。 >  画面上の位置表示から、走行軌跡トレース、目的地までの経路誘導、建物の立 > 体表示等々、高機能化・高精度化が進むにつれ、利便性は増したものの、表示さ > れる情報量は多くなり、画面を見る時間が増え危険性も増した。PL(製造物責任) > 法の厳しい欧米では、進行方向の矢印表示のみで、地図表示方式のカーナビはほ > とんど普及していないようだ。 >  今回の運輸省の危険性公表とクラリオン、ソニーの廉価版の増販は直接関係は > 無いが、今後のカーナビの商品戦略に大きな示唆を与えるように思う。私は常々 > 国内でも、全車に標準装備できるような単機能の超廉価版カーナビを企画すべき > と思って来た。 ========================================================================== ---◆最近のサテライトニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●スカパー、ディレク加入者伸び悩み  スカイパーフェクTVの11月末加入数は、前月比3万3千件増の94万5千件。景気低迷 の影響で、単月の純増数が96年10月開局以来、初めて前年同月実績を下回った。今 月から開始する販促キャンペーンで年内100万件突破を目指す。  一方ディレクTVも1万3千件増の20万6千件。先月から開始した販促キャンペーンに もかかわらず、加入者増は前月並。 >  最近のCSの話題は、ほとんど暗いものばかり。私もいいかげんうんざりしてい > るが、皆さんに必読かつ的確な情報を提供するのが私の責務。(>_<) >  さて、上記とは関係ないが11月24日付朝日新聞によれば、先般中国の江沢民主 > 席の来日の際にもCS関連の芳しくない話題があった。 >  見出しは「日中電波提携ゴースト状態。新華社、CS進出のはずが・・・、日本 > 側資金難で暗礁。江主席の訪日時視察、幻に」。今春新華社と業務提携契約を結 > び、当初7月に予定していた某放送会社の開局が延び延びになっており、未だ開局 > の目処すら立たない状態。契約を巡る金銭トラブルや人権訴訟も発生、新華社は > 外交ルートの解決も辞さずと強硬で郵政省も困惑とのこと。なんとまぁ。 ───────────────────────────────────── ●移動体向け衛星放送「モバイル放送(*)」、出資企業33社に  2001年のサービス開始を目指すモバイル放送は、第三者割り当て増資で資本金を 5億円から14億9千万円に。松下、パイオニアなど大半のカーオーディオメーカーの 他、電通、TBS、三井物産など24社が新たに出資。 (*)モバイル放送株式会社 CS(通信衛星)を使って自動車などの移動体向けに高音質の音楽や、動画、地図情報 などを有料で提供すべく、東芝が中心となり5月に設立した事業会社。 当初出資は東芝40.5%、トヨタ31%、富士通15%、日本テレビ7.5%、FM東京、ケンウッ ド、デンソー、アルパイン、凸版印刷各6% >  以前にも書いたが、衛星放送分野での家電メーカーの勢力図は、BSは松下、CS > はソニー、三菱が主導権を握る構図が出来上がりつつある。出遅れたのが日立と > 東芝。日立は独自でHKチャンネルを立ち上げ、東芝は「モバイル向け」というコ > ンセプトで巻き返しを図る。 >  CS、BS、そして地上波も近々デジタル化される。新たなインフラやサービスが > 必要とは到底思えない。きっと私の思いもよらぬところに勝算があるのだろう。 >  それにしても、我が国企業の横並び・お付き合い体質は相変わらずだ。^_^; ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、インターネットの本屋さん『まぐま  ぐ』及びメールマガジン立ち読みスタンド『Macky!』を利用して発行しています。  配信の停止や配信先の変更は、下記URLでお願いいたします。  『まぐまぐ』http://www.micle.co.jp/kawara.htm or http://www.mag2.com/  『Macky!』 http://macky.nifty.ne.jp/ ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。   http://www.micle.co.jp/kawara.htm ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を許可無く転載  することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================